衆院平和安全法制特別委はきのう15日(2015年7月)、集団的自衛権行使を含む安全保障関連法改正案など11件を一括採決した。野党が一斉に反対するな か、自民党と公明党の数による強行採決で、きょうにも衆院本会議で可決。60日ルールによって、参院での結果にかかわらず、本国会で成立することが決まった。
「国民の皆様のご理解が進んでいない」と答弁しながら強行採決
安保法制の審議時間は100時間を超えているが、採決された法案・改正案は11本もあって、1法案あたりは10時間ということになる。安倍首相にとっては内容審議なぞどうでもよかったのだろう。この日、「国民の皆様のご理解が進んでいないのも事実であります」と答弁しながら、採決だけは強行した。採決後に「判りやすく説明していきたい」なんて話が逆だ。今後はただのセレモニーになる。
そもそも、法案すら出ていない段階でアメリカ議会で「安保法案を成立させます」と明言したのもふざけた話だ。その後、委員会で憲法学者3人からそろって「憲法違反」とされたが、安倍首相は一顧だにしなかった。数があれば何でもできる。理屈なんかどうでもなる。
きのうの委員会は午後0時過ぎ、まず野党が審議継続の動議を出したが否決。野党議員が「強行採決反対」などと書いたプラカードをテレビカメラに向かって一斉にかざしてアピールするなか、安倍首相は退席。そのあと、維新の党の対案を否決し、維新の議員は退席した。
直後の0時24分、浜田靖一委員長が採決した。親父さんの幸一氏(ハマコー)の時代と違って、野党議員は議長をとりまいていたが「だめですよ、委員長」などとおとなしいものだった。
司会の小倉智昭「野党もプラカードしか手がなかったのかね」
フジテレビの石原正人・政治部長が民主党と維新の党の食い違いを説明したが、たとえまとまったところで結果は同じ。数の多数にはかなわない。
反発強い世論「内閣支持率急落で支持・不支持逆転」
小倉「わかりにくい論議だった。外では戦争はいやだ、憲法違反だという風に要約されていたが」
国会周辺は終日、法案反対の市民がとりまいていたが、「とくダネ!」はこの映像は撮っていなかった。コメンテーターの為末大(元プロアスリート)は委員会の状況を「特殊な状況」と驚いていた。法案にたいする危機感はあまりないらしい。
小倉「昔はもっとはげしかった」
宋美玄(産婦人科医)も「国民に理解をえられる自信がなかったのだろう」などといったが、それだけ。
小倉「100時間審議したというが」
石原「政府は具体例を示さなかった」
小倉「たとえ話でしょ。友だちの麻生君がどうとか。質問も堂々巡り」
「60日ルール」が成立するのは9月14日。会期は9月27日までだから余裕だ。すべては安倍首相の思惑通り。ひとつ違ったのは内閣支持率の低下、不支持が逆転くらいか。
ただ、国会外の声の広がりは意外に大きいようだ。「賛成した議員は次の選挙で落とす」などというのが公然と聞かれる。それまで覚えていればの話とはいえ(日本人は忘れっぽい)、18歳選挙権も考え合わせると、意外な結果を生むような気がしないでもない。