日韓で政治問題となっていた「明治産業革命遺産」の世界遺産登録は、異例の審議延長の末、6日未明(2015年7月)にようやく全会一致で登録が決定した。日韓が揉めたのは朝鮮半島出身者が施設で働かされた「徴用工」をめぐる表現だった。
韓国側は強制労働(forced labour)という表現に固執し、日本は強制労働というきつい言葉がナチスドイツの強制労働所を連想させるうえ、この言葉を認めれば、未払い賃金など日韓国交正常化の際に結んだ請求権協定で解決済みの問題が新たにぶり返される懸念があるとして強く反発した。
結局、徴用工については「brought against their will and forced to work」(その意思に反して連れてこられ働かされた)で折り合いがついた。
「forced(強制された)」で妥協
司会の夏目三久「決まるまでハラハラしましてたね」
ユネスコの世界遺産委員会が開かれているドイツのボンで取材している貞包史明記者は「他の委員国からわれわれのところまで『国際会議の場でもういい加減してくれ』と苦情があったほどでした。(最終的には)これまで日本側が使ったことのないforced(強制された)という言葉を日本側が使ったことから韓国側では『勝利した』という見方が出ていた」という。
登録はしたが、日韓関係にしこりが残った。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト