アジア大会期間中にカメラを盗んだとして韓国・仁川警察署に逮捕された競泳の冨田尚弥選手(25)がきのう6日(2014年11月)、記者会見を開き容疑を全面的に否定した。警察で見せられた映像に「犯行」の瞬間はなかったという。これに対して、JOC(日本オリンピック委員会)は役員が冨田がカメラをバッグに入れる瞬間の映像を見たと反論し、言い分は食い違っている。
警察の取り調べでは「心が弱くて認めてしまった」
3時間にわたる会見で、冨田は「僕は盗んでいません」と言い切り、「それははっきり言えますか」という問いにも「はい」と答えた。
冨田はアジア大会で100メートル平泳ぎ4位に入賞した翌日の9月24日、ムンハク水泳場のスタンドでプールの練習を眺めていたら、見知らぬアジア系の男に左腕をつかまれ、バッグにカメラを入れられたと説明した。その場で問い正さなかったことについては、「レース用の帽子とゴーグルが入っていたので、それを取り返すのが先決と思いました。カメラをゴミと勘違いしました」と話した。危害を加えられたり争ったりするのがいやで、そのまま持ち帰ったという。
「カメラは1・3キロもあるが...」と追及されると、「レンズが外れていたので、壊れていると認識しました」「ゴミ箱がなかったので持ち帰ってしまった」と答えた。
この水泳場には防犯カメラが3台あった。仁川警察は2台が冨田をとらえていたとしている。しかし、冨田は机越しにスマホで見せられた映像は小さく遠く、見えづらかったという。防犯カメラのモニター映像をスマホで撮ったものだったらしい。「僕の右半身がぎりぎりにしか映っていませんでした」「第三者がいる(はずの)部分は切れていました」
仁川警察で事情聴取された冨田は、帰国できないことを恐れるあまり「心が弱くて認めてしまった」という。
上野広治競技委員長「当初から盗んでいないと話している。信じないわけにはいかない」
これに対して、JOCの平眞事務局長は「冨田選手の発言に驚いている。特定できたから(彼を)呼び出したのです」と語った。役員2人が仁川警察から冨田が盗む映像を見せられたと報告を受けたという。「スッキリ!」のスタッフが韓国警察の捜査員から映像を見せてもらったところ、ユニホーム姿の冨田が写っていた。ただ、盗んだ瞬間ではなかった。瞬間の映像はトップクラスの許可がないと見せられないそうだ。
このほか、通訳が日本語に堪能だったかどうかでも、「日本語は得意でない人だった」(冨田)、「しっかり話せたと(役員から)聞いた」(平事務局長)と食い違ている。
逮捕直後、冨田が上野広治競技委員長を呼んでほしいと要請したが、不在だった。その上野委員長は「冨田選手は当初から盗んでいないと話している。信じないわけにはいかない」という。
キャスターのテリー伊藤「他に犯人がいるとしたら、その映像がないというのがわからないですよね」
菊地幸夫(弁護士)「生の映像を見るしか(確認の)方法はないですよ。韓国警察にとっては終わったことで、再捜査はむずかしいでしょうね」
今後は、韓国から判決書が送られてくるのを待って、不服なら1週間以内に韓国の裁判所に本裁判を申請するが、1000万円近い費用がかかるともいわれる。