埼玉県のJR川越駅構内で8日(2014年9月)午前7時50分ごろ、県立盲学校「塙保己一学園」の女生徒が白杖につまずいた何者かに背後から右足膝の裏側を蹴られた事件で、女生徒は「いまも一人で歩くのが怖い。白杖や点字ブロックを意識しないで歩いている人が多い。きちんと理解してほしい」と訴えている。
「たまたま見ていたご年配の方が『あんた、何やってんだ』と怒ってくださった」
当時の状況を女生徒は「『痛い』って声だけは少し出たけど、怖くてもうどうしていいかわからなくて。たまたま見ていたご年配の方が『あんた、何やってんだ』と怒ってくださった」と話す。ただ、蹴った人物は「終始無言で性別などは分からないまま立ち去った」という。女生徒は相手への怒りを表すこともなく、丁寧に受け答えしていたのがいじらしい。
塙保己一学園の新井宏昌校長は「目の見えない状態の中でいきなり、つまり逃げられない状態で蹴られたというのは察するに余りある怖さです」という。
では、日常生活でどんな不安があるのかという質問に、女生徒は「やはり前を見ないで歩いている方が多いことです。携帯電話をいじっていたりとか、音楽を聴いていたりとか、いつかぶつかるんじゃないかって不安です」と語る。
白杖や点字ブロックは彼女たちにとってどういうものなのか。「私はまるっきり見えないので杖は目の代わりです。点字ブロックはどっちに行くか誘導されているんですね。私たちの目印、道という感じです。その白杖や点字ブロックを意識しないで歩いている人が多いんです。きちんと理解してほしい」と訴える。
文
モンブラン