週刊誌の合併号がほぼ出そろった。週刊現代430円、週刊ポスト440円、週刊文春と週刊新潮が420円。いよいよ440円時代の幕開けだ。だが、何度もいうようだが、部数が減り続けているのに値上げするのはやめたほうがいい。もっと薄く持ち運びしやすくして(私は『ニューズウィーク日本版』のような紙と薄さが好きだ)、300円程度(牛丼1杯分)の値段にすれば部数は増えるはずだ。
さらにいえば、1冊150~200円程度にして、月曜日と金曜日の週2回発売にしたらどうだろうか。残された「体力」がまだあるうちに変革をしないといけない。早晩こうしたザラ紙週刊誌が消えていくことは間違いないのだから。
「相続税対策で娘も納得している」と祖母の養子に
今週も佐世保で起きた女子高生殺人事件の話題で持ちきりであるが、中でも『週刊文春』が質量ともに他誌を圧倒している。<前妻の没後、父親は戸籍を改変し、現在A子は祖母の養子になっている>という衝撃的な事実を報じている。父親は相続税対策で娘も納得していると話しているようだが、母親を失い失意の底にある思春期の娘が受けたショックは想像するにあまりある。
週刊文春によれば、この戸籍改変の直後に父親を金属バットで殴る『事件』が起きるのだが、こうした因果関係を打ち消すかのように、A子に接見した女性弁護士から「本人の申し出」として、既報内容の訂正を求める文書がメディアに配られたという。要点は次の4点。再婚に反対した事実はない。再婚について友だちに話したこともない。父親のことは尊敬している。継母とは仲良くしていた。
だが、社会部記者がこう疑問を呈している。<「A子が幼なじみに漏らしていた『お母さんが亡くなってすぐにお父さんが新しい女の人を連れてきた。お母さんのことはもうどうでもいいのかな』という証言には信憑性がある。尊敬しているという父を襲撃するなど、矛盾がある点は無視できません」>
前回も紹介したが、小学6年生時代に同級生の給食に毒物を混ぜ込んだことがあり問題になったが、教諭の諭す言葉にA子はこう答えたという。<「何が善で何が悪かは、大多数の意見で決まる。絶対というものはない。そしてその善悪を決めるのはこの『僕』だ」> 彼女は自分のことを「僕」といっていたようだが、このことから見て取れるように、A子は大人を手玉に取る利発な子供だったのは違いない。中学校の卒業文集に彼女の「数える」という文章がある。
<「僕が人生で本当のことを言えるのは、これから何度あるだろうか。
人生で、涙ぐむほど美しいものを見ることは、悲しみに声を枯らすことは、お別れのあいさつを書くことは、好きな人と手をつなぐことは?
数えたら、きっと拍子抜けするだろう。
いま人生を始めたばかりの薄い肩に、どこまでも水平線が広がっている。
あまりにも短い航海の間、僕は何度心から生を叫べるか、正の字をつけて数えておこう。
この人生の幕引きに笑ってお辞儀ができたなら、僕はきっと幸せです」>
報道によれば、いまだにA子は殺害した同級生へのお詫びの言葉を口にしていないという。彼女は悪魔のような家庭から排出したモンスターではない。裕福で知的な家庭に育ち、そのままいけば志望の「検事」になることもできたかもしれないのだ。父親の責任は重いとは思うが、他人事ではない。なぜ彼女が歪んでいってしまったのかを検証しなければ、第二、第三のA子が出てくることは間違いない。
週刊現代よ、苦労はわかるがいくらなんでも「禁じ手」だよ…少女A父親の「手記まがい記事」
ここで『週刊現代』がこの事件を扱ったタイトルを見てもらいたい。「スクープ!佐世保『高1同級生惨殺』事件 早大卒・弁護士・53歳 加害者の父『悔恨と慟哭の日々』」
スクープとついて佐世保の同級生殺しの女子高生の父が「悔恨と慟哭の日々」とくれば、全文が父親の手記とは思わないが、立ち話でもできたのかと思うではないか。駅で買って地下鉄の中で読み始めたが、どこまで読んでも父親の短いコメントすら出てこない。羊頭狗肉は週刊誌の常だとは思うが、これでいいのか週刊現代、といいたくはなる。部数を多く刷る合併号というプレッシャーが編集長にあったことは想像に難くない。だが、自分の編集長時代のことを省みずにいわせてもらえば、これは「禁じ手」である。
この事件を扱うなら他にいくらでもやり方はあるはずだ。編集長の最初の指示は「何としても父親のコメントを取れ」だったのだろう。だが、結局、徒労に終わったことがわかったとき、編集長はありったけの知恵を絞り読者が手にとってくれるようなギリギリのタイトルをひねり出したのだ。その苦労はわかるが、やはりこのタイトルをつけてはいけないと思う。
週刊誌は切歯扼腕!「笹井芳樹氏の自殺」夏休み合併号で休刊の谷間
「小保方さん、本日なのですが、東京は雪で、寒々しております。そんなこんなで、残念ん(ママ)ながら、早くラボに帰るのが難しい可能性があり、直帰になるかもしれません。(中略)2回目の樹立のライブイメージングは、ムービーにしてみたら、どんな感じでしたでしょうか? では、また明日にでも見せてくださいね。小保方さんとこうして論文準備が出来るのをとてもうれしく、楽しく思っており、感謝しています 笹井」
「笹井先生 いつもお世話になっております。寒い日が続いておりますが、お体いかがでしょうか?」
8月5日(2014年)、STAP細胞論文の主要著者の一人で、小保方晴子ユニットリーダー(30)の指導役を務めていた理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB・神戸市)の笹井芳樹・副センター長(52)が自殺した。『朝日新聞』はこう伝えている。<関係者によると、小保方氏に宛てた遺書は1枚紙で、「研究は楽しかった」「STAP細胞を必ず再現してください」という趣旨の記述があった。「あなたのせいではない」「新しい人生を一歩一歩進んで行ってください」とのメッセージもあった。ほかの遺書には、一連の騒動についての謝罪や「精神的に疲れた」という内容が書かれていた>
冒頭に紹介したのは『週刊新潮』の「NHKが虚言症扱いした『小保方博士』と『問題上司』の失楽園」の中の、笹井氏と小保方さんのメールの一部である。週刊新潮の独自ネタではなく、7月27日に放送されたNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深淵」で紹介されたものだ。残念ながら私は未見だが、週刊新潮によれば、このメールは理研が調査のために集めた資料の中にあって、それをNHKが入手し放送したのだそうだ。
この番組は、こうした2人の親密さを示すメールを出すことで、そのことが不正を招く要因の一つになったと暗示し、小保方さんの研究室にあったとされるES細胞の入った容器の写真も出しながら、<断定こそしないが、STAP細胞の正体が、当時、若山(照彦=筆者注)研究所にあったES細胞である疑いが強いことを強烈に示唆した>(週刊新潮)内容だったという。
週刊新潮の記事は笹井氏が自殺する前に書かれたもので(今週は合併号のため最終校了日は4日夕方)、6日発売だから自殺を仄めかすことは何もないが、邪推すれば、NHKの番組が笹井氏の生への執着を断ち切るトリガーになったのかもしれない。
ほとんどの週刊誌が合併号のため、後追いするにしても2週間遅れになる。これも単なる推測でしかないが、男女の関係ではなかったかということも含めて、さんざん書き散らされた笹井氏が最後に週刊誌が一番悔しがるタイミングで命を絶ったのも偶然とは思えないのだが。
遺書の「あなたのせいではない。新しい人生を進んで行ってください」という言葉に、小保方さんへの『愛情』が窺えるといったら、笹井氏に「邪推するな」と叱られるだろうか。日本を代表する頭脳を失ったことは大きな損失であることは間違いない。ご冥福を祈りたい。
大橋巨泉「ボクもマリファナやったことあるけど、最近のは強力で薬物中毒への入り口」
日本では脱法ハーブが危険ドラッグと名称が変わり、取り締まりが強化されているが、海の向こうでは大麻解禁の動きが急のようだ。<米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は27日、大麻の所持や使用を禁止する米国の連邦法を撤廃し、禁止するかどうかは州に委ねるべきだと主張する社説を掲載した。かつて、米国で制定された禁酒法と大麻を禁止する法律を比較し、「アルコールよりずっと危険性が低い物質を禁止するために、社会に大きな損失をもたらしている」と述べた>(7月28日付朝日新聞)
社会的損失とは、大麻で逮捕される人数が覚醒剤の3倍ぐらいあり、その費用と逮捕された人間たちが落ちこぼれて悪の道へ入る予備軍になってしまうことを指しているようだが、週刊現代でも大橋巨泉氏がカナダのバンクーバーに「マリファナ専門薬局」が急増していると書いている。
バンクーバーでもマリファナを吸ったり売買することは禁じられているのだが、個人でケーキやクッキーになったものを楽しむのは問題ないという。その「薬局」ではメンバーシップ制にして、自然療法士と呼ばれる人の判断でメンバーズカードを渡し、メンバーたちがそこでマリファナ入りのクッキーやチョコレートを食べながらマリファナについて楽しく話し合うのだそうだ。
巨泉氏も、かつてはマリファナを吸っていたことを告白し、がんなどの痛みの軽減にマリファナの有効性は認めながらも、こう心配する。<近年のマリファナは、あの頃のものとは比べものにならない程強力だそうなので、一口では言えないが、ボクが一番心配するのは、若い人が楽にアクセスできるようになることだ。彼らは果たしてマリファナだけで止まるだろうか。ボクの知っているジャズメンの中にも、ここから入ってコカインやヘロイン、或いは覚醒剤に走って、あたら若死にしたものも多い>
日本でもマリファナを解禁せよという声は、以前ほどではないが、一部に根強くある。だが、自制心のない連中がマリファナを吸って自動車を運転することを考えると震えがくるのは、私だけではないだろう。
「地雷原」行く安倍首相!内閣改造で石破幹事長の離反、小泉進次郎の原発再稼働反対…
9月の内閣改造の焦点は、安倍首相のライバルである石破茂幹事長を外せるかどうかのようだ。首相は新設の安全保障法制担当相を打診したが、強く難色を示しているという。週刊現代によれば、安倍氏ほかのオフレコ発言では「石破はすでに死んでいる」といわれているようだが、石破もここが正念場だとわかっているため、おいそれとはいかないだろう。ここで石破説得にしくじると、自民党の中の不満分子たちが一斉蜂起しないとも限らない。
やはりというおうか、やっとといおうか、期待の若手、小泉進次郎氏が原発再稼働反対の姿勢を明確にしつつある。<小泉進次郎復興政務官は4日、福島県会津若松市で講演し、安倍政権が進める原発の再稼働について「2回、事故を起こしたらおしまいだ。はたしてもう一度、同じような事故を起こさないと自信を持って言えるか」と疑義を呈した>(8月4日付朝日新聞)
週刊文春が福田康夫元総理が極秘訪中して習近平国家主席と会談したことを取り上げている。11月に開かれるAPECで安倍首相との首脳会談の下工作ではないかと囁かれているが、ことはそう簡単ではないようである。親中国派で安倍嫌いの福田が、安倍首相を利するようなことをやるのだろうか。秋には永田町にも波乱の予感。