理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)が2日(2014年)午前11時過ぎ、神戸市の発生・再生科学総合センタ―(CDB)に出勤してきた。公の場に姿を現すのは4月29日の記者会見以来84日ぶり。タクシーから降りた小保方氏はポニーテールの髪型で白地のパーカ―、グレーのパンツ、スニーカー姿だった。
本格的な実証実験は9月から
この日、小保方氏はどんな作業をしたのだろう。実証実験の統括責任者・CDBの相澤慎一特別顧問は「実験の準備ができていないので、実験ノートを揃えるとか、お茶の道具を揃えるとか、そういうたぐいのことに時間を使うことになる」と話す。前代未聞の騒動の割にはのんびりしているが、それやこれやの準備で本格的な実証実験に入るのは2か月後の9月ごろになるという。
相澤特別顧問は「最善の科学をやるものとしては、本人が参加して『STAP細胞はない』というところまでやらせたい」と話す。しかし、そうした理研の姿勢に理研内部や外部の研究者から厳しい批判が出始めている。
iPS細胞の世界的権威で、ネイチャー誌の「今年の注目の5人」に選ばれた理研の高橋政代プロジェクトリーダーは、ツイッタ―に「理研の倫理観にもう耐えられない」と小保方氏を参加させた実験に強い不満を書き込んだ。大阪大学の篠原彰教授(分子生物学)は朝日新聞紙上で、「小保方氏が疑義に対し何ら説明しない段階で参加させるべきでない。不正があってもあとから確認できればよいという誤ったイメージを発することになる」と批判した。
司会の小倉智昭は出勤してきた小保方氏の横顔を見て、「頬がやせたねえ」といらぬ心配をしていたが、その小保方氏にこれまで噴出した数々の矛盾点を問いただせば、1週間ほどで真実はわかるのではないか。ずさんな研究体制を指摘された理研が、長い日にちをかけて保身のための落としどころを模索するつもりなのではと疑いたくなる。