来年度予算案が「審議不十分」という野党の反発を無視して、28日(2014年2月)にも衆院本会議で可決し参院の送られる見通しだ。その一方、衆院予算委員会では原発政策、TPP問題、NHK会長問題などの難題について審議が繰り広げられているが、政府・与党の強気の答弁ばかりが目立つ。毎日新聞論説委員の与良正男は「自民一強政治」の背景と現状を解説した。
「安・公すきま風」の穴埋める『みんな』『維新』すり寄り合戦
安倍首相が繰り返し語っている「原発依存は可能な限り低減していく」という原発政策については、「『可能な限り』は極めてあいまいな言葉で、可能でなかったからできないって話になりかねません。3・11から3年、われわれ自身の気持ちも風化してはいけないと思うのですが、自民一強という体制の中で再稼動まっしぐらという感じがします。さらに言えば、エネルギー基本計画では原発の新・増設を否定していない。まったく逆戻りするのかという感じがありますよ」という。
「野党は太刀打ちできず自民一強に押し切られているどころか、『安(安倍)・公にすみま風』が吹き始めると、みんなの党と維新の会がすり寄り合戦です。怒られそうだが、原発政策や安全保障政策ですり寄る場面が目立つ」
「個人的意見」で済まないNHKの問題発言連発
日米同盟がギクシャクしていることについてはこう見ている。「安倍さんの靖国参拝をアメリカは『失望した』といいましたが、一種、内政干渉と言っていいと思う。が、やっぱり安倍さんの歴史認識観、つまり先の大戦をどう見るか、東京裁判をどう見るか、A級戦犯をどう見るか、中国への侵略をどう見るか。それらを突き詰めていけば、A級戦犯、東京裁判を否定する話になり、反米になっていく。アメリカはもしかしたら安倍さんは反米ではないかと疑い始めているのではないでしょうか。
それをある種の政治的知恵でコントロールして日米間でやってきた。戦後自民党がやってきたその方法はそれでよかったと思います」
「NHK会長問題も同じ観点で考える必要があると思うんです。籾井勝人会長や経営委員の長谷川三千子さん(埼玉大名誉教授)、百田尚樹さん(小説家)の発言は、安倍内閣そのものがそういうふうに考えているのではないかとアメリカやヨーロッパが見始めています。いまや日韓、日中問題でなくて、日米問題になっているんです」
たしかに、安倍首相が白羽の矢を立てる人材には一つの傾向がある。勘ぐれば憲法改正への布石と見れなくない。