京都市内を流れる鴨川に巨大なネズミが繁殖し、生態系を壊す危険性があると心配されている。鴨川は賀茂川と高野川が合流して鴨川と名称が変わる。巨大ネズミが目撃されているのは賀茂川側に架かる出町橋付近だ。大竹真レポーターが行ってみると、川べりの茂みですぐ見つかった。
体長30センチぐらいで、大竹が手を差し出すと恐れもせず近づいてくる。餌をくれる人間に慣れているのだろう。ちょっと茂みを歩いてみただけで、5匹も発見した。
南米原産のヌートリア―西日本に中心に数十万匹繁殖
この巨大ネズミは南米原産のヌートリアだ。もちろん、もともと日本には生息していなかった。生態系に害を及ぼす特定外来生物に指定されている。草食動物で、農水省によると農作物を食い荒らし、年間1億円を超える被害があるという。
農作物の被害も甚大だが、生態系を壊すとはどういうことなのか。ヌートリアの生態を研究している北海道大学の立澤史郎助教によると、「草食系だが、よく食べるのが二枚貝のドブガイなんです。淀川水系で有名な天然記念物のイタセンパラという魚がこのドブガイに卵を産みます。ヌートリアにドブガイが食べられいなくなると、イタセンパラの繁殖する場所がなくなってしまうのです」という。
実は、ヌートリアがいるのは鴨川ばかりでない。立澤助教は「おそらく西日本中心に数十万匹ではきかないでしょう。鴨川には2000年ごろから出没し始めました」と話す。
戦争中に軍服用として輸入・飼育し終戦で放置
日本に入ってきたのは戦前で、軍服の毛皮に使うために輸入され、各地で大量に飼育された。それが終戦とともに野外に放置され、増加していったという。繁殖力が強く、1回の出産で5~6匹の子どもを生み、年に2~3回出産する。天敵がいないことから、いまやどんどん増えるばかりだ。
キャスターのテリー伊藤「野良ネコ同様に餌付けする人がいるからねえ。かまれると感染症になる恐れもあり、ものすごく危険ですよ」
評論家の宮崎哲弥「ヌートリアの立場になれば、人間って勝手だなと思うでしょうね。必要性があって入れときながら、こういう結果になると邪魔者扱い。でも、駆除するしかないですよね。とりあえず、私たち市民にできることは餌をやらないことですよ」
京都府や京都市では今後、生息状況を調べて本格的な捕獲作戦に取り組むという。