昨年末(2013年)に米国ニューヨーク市長に当選したビル・デブラシオ氏がスキャンダルに見舞われた。それもただのスキャンダルではない。「ピザスキャンダル」である。市長は市内スタテン島のレストランで出てきたピザをナイフとフォークを使って食べた。地元のテレビや新聞は「フォークゲート」と騒ぎ立て、「犯行」動画もあれこれアップロードされている。
正しいアメリカン式「縦に折り曲げて手づかみ」
もちろんこれは面白半分、冗談半分の騒ぎとはいえ、ピザにうるさいニューヨーカーにとっては、本当に許せない出来事かもしれない。筆者もかつてニューヨーカーからピザの食べ方をご指導いただいたことがあった。大きめのピースを折り曲げて持って、半サンドウィッチ状にして食べるのがスマートであり、かつウマいのだ、と。もちろんナイフとフォークなどは論外だ。
イタリア系のルーツを持つニューヨーカーの市長は「イタリアではナイフとフォークで食べるのが伝統で、私もそれに親しんできた。でも、ときにはアメリカンな食べ方(手づかみ)もしてますよ」などと釈明している。
市長は選挙でニューヨークの格差是正などを訴え、庶民の味方と目されていただけに、就任早々、思いもよらぬところで庶民との格差が露呈してしまったようである。
ボンド柳生