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田中将大いくらになる?米メジャー移籍で桁外れの年俸―サンデル教授「疑問の声出る」

   さて、今シーズン24勝0敗という大記録を打ち立てて楽天日本一の立役者となった田中将大(35)のメジャー移籍が、紆余曲折あったが何とか決まりそうである。当初、移籍金と契約金合わせて160億円にもなるといわれていたが、新しい制度ではそこまではいかないようで、楽天側は渋っているという報道もあるが、最後は受け入れるのではないか。

   だが、それでも田中には桁外れの年俸が払われるはずで、『週刊現代』が「田中将大よ、若いうちからカネをもらいすぎると道を誤るよ」と苦言を呈している。まず、ハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏がこういう。

<「以前、東京大学で白熱教室を行っときたときのことです。私は学生たちに、イチローの年収がオバマ大統領の42.3倍であることをフェアだと思うか、という質問をしました。すると、『野球というビジネスが成り立っているならば、正当な対価である』という意見がある一方で、『年収の差は不当だ』という声も非常に多かった。彼らは『プロ野球選手よりも大統領のほうがはるかに影響力と重要性のある仕事だ』と主張していました。
   たしかに、メジャーリーガーの年俸は、他の職業に比べはるかに高い。これは歴然としている。ノーベル賞の賞金は140万ドルですが、彼らの15分の1にも満たないですからね。業績や世界に与える影響を考えれば、イチローの年俸より賞金が高くても何らおかしくありません。
   資本主義の原理に反するので、年俸の上限を決めることに賛同はしません。しかしプロ野球選手の仕事は、それほど価値があるのか。他の仕事に従事している人々から、疑問の声が出るのも当然でしょう」>

   作家の伊集院静氏もこう話す。

<「(中略)アメリカのスポーツ関係者は、カネの価値を何だと思ってるのか。アメリカ経済のなかで勝ち組が持っている金銭感覚を、そのままスポーツの契約金に当てはめているような気がしてなりません。スポーツとはいえ、プロである限り労働であることに違いはない。にもかかわらず、100億というカネが、労働に対する対価として高すぎると考えないのは異様です」>

   若いときの苦労は買ってでもしろということか。元サッカー日本代表の釜本邦茂氏もこういう。<「私も現役時代、長嶋さんや王さんの契約更改の記事を読んで、『羨ましいな』という思いを抱きました。こっちはサラリーマンと同じ給料しかもらえていないわけですからね。ただ一方で、若手のうちにそうした思いを経験したことで、社会の常識を失わなかったとも言えます。今のJリーガーたちも、年俸が低い分、学ぶことも多いでしょう」>

   スポーツ選手の現役寿命は短い。現役を終え、残された長い「余生」を暮らすには、金銭感覚は絶対に必要であろう。カネがなくなれば人も離れていくし、ファンの熱い眼差しもなくなってくる。人生それからが本当の勝負である。田中にはいい年上女房が付いているから大丈夫かも知れないが、ちょっぴり心配ではある。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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