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「特別秘密保護法」メディアは反対あきらめたのか!「週刊朝日」取り上げたツワネ原則に注目

   さて、安倍晋三首相は何としてでも特定秘密保護法を通すつもりである。みんなの党や維新の会をわけのわからない妥協案で丸め込み、今国会中に成立させようとしている。だが、一部の新聞を除いて、この法案にはっきり反対を表明しているところは少ない。週刊誌などは俺たちに国家機密など関係ないといわんばかり、この問題に触れることもしないのが大半である。もはやメディアの末期症状といわないわけにはいかない。

   11月19日(2013年)に東京・神保町の岩波セミナールームで、「憲法と表現の自由を考える出版人懇談会」による特定秘密保護法案反対の集会をやり、アピール文を私が読み上げた。そこに週刊誌の編集長たちにも来てもらうようお願いをしたが、来てくれたのは『週刊金曜日』編集長の平井康嗣さんだけで、週刊現代の藤田康雄編集長、週刊朝日元編集長の山口一臣さん、週刊新潮の酒井逸史編集長、週刊アサヒ芸能の青戸康一編集長、プレジデントの鈴木勝彦編集長がFAXやメールで賛意を表明してくれた。

   この模様はNHKの7時のニュースで流れたからご覧になった方もいるかもしれないが、主催者側がそういってはいけないのだろうが、あまり盛り上がりのない会であった。なにか、成立は規定路線だという諦めがメディア側にあるのではないか。

   そのなかで、ごく少ない「反対を表明している週刊誌」である週刊朝日は、今週は「ツワネ原則」というものを引き合いに出し、特定秘密保護法がこの原則に違反していると報じている。ツワネ原則とは、秘密保護法制の作成の際にどこの国でも問題となる「安全保障のための秘密保護」と「知る権利の確保」という対立する2つの課題の両立を図るための国際的なガイドライン原則で、南アフリカの首都ツワネで発表されたためこの名前がある。

<例えば、ツワネ原則(第47)では「ジャーナリストや市民が秘密を入手し、公開しても罰せられるべきではない」と規定されているが、政府の法案は真逆だ。
   特定秘密保護法案では「ジャーナリストや市民が特定秘密を不当な方法で入手しようと共謀(相談)をしたり、教唆(そそのかし)をしたり、煽動(呼びかけ)をしだけでも懲役刑を科す」と規定されているのだ」(週刊朝日)
   ツワネ原則では「全ての秘密に接することができる独立した監視機関を置く」と定めているが、特秘法にはどこにも明記されていない。さらにツワネ原則は「秘密の開示を求める手続きを定めなければならない」とする。だが、政府案では秘密の有効期限は最大30年で解除され、国立公文書館に移されるが、内閣の承認さえあれば、永遠に封印できるという内容になっている。
   しかも、この法案の担当大臣である森雅子担当相は「(ツワネ原則を)読んだことはないので、確認したい」というお粗末さである。<内閣府の岡田広副大臣は、国会で特定秘密の提供を受けた国会議員がぶら下がり、飲食しながらの取材を受け、記者らに秘密を漏えいした場合、「最長で懲役5年、500万円以下の罰金が課せられる」という見解を示した。法案が成立すると、メディア、公務員だけでなく、国会議員すらも萎縮する危険性がある>(週刊朝日)

   何としてでもこの法案成立を阻止しなくてはならないのだが、残された時間はわずかである。日本人よ、すべてのメディアよ、即刻総決起せよ!

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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