被害女子高生も殺される6日前に「復讐ポルノ」ネットばらまき
<「沙彩さんの自宅の部屋のなかで、ベッドの上や大きな鏡の前で撮られていた。背景に写っている壁には、画家である母親の作と思しき絵が飾られている。沙彩さんは、笑顔で、すましたような表情、時には恥ずかしそうな表情を浮かべて写っていた。(中略)
いずれにせよ、誰かに見せるとしても、非常に親しい関係にある人にしか見せないようなものばかりだ。不特定多数に向かって写真が公開されるのは、沙彩さんへの脅迫が目的としか考えられない。(中略)
さらにその2日後、同じユーザー名から沙彩さんが映る動画が投稿された。撮影された部屋は不明だが、ベッドの上だ。(中略)撮影者はその男だ。時折、男と笑顔を浮かべて会話してることからも、親しい関係がうかがわれる」>
これは『週刊ポスト』の「バラまかれた『復讐ポルノ』の残酷」からの引用である。東京・三鷹市でタレントの卵、鈴木沙彩さん(18)が、池永チャールストーマス容疑者(21)に殺された事件の6日前にインターネット上にばらまかれた写真は、沙彩さん自身の手で撮影されたものであるという。ストーカーに恥ずかしい写真まで公開され、そのうえ殺されたのでは、2度『殺された』ことになるのではないか。
週刊ポストによれば、振られた腹いせに元恋人の裸の写真や映像をネットに投稿する行為は「復讐ポルノ(リベンジポルノ」といわれ、世界的な問題になっているようで、この10月(2013年)、米カリフォルニア州議会は嫌がらせを意図してヌード写真をネットに流通させた者に、最大で6か月の禁固か1000ドルの罰金を科す法案を成立させたという。
事件が起きたのは10月8日16時50分頃、三鷹市の閑静な住宅街に住む私立高校3年の鈴木さんは、自宅内にいるところをかつての交際相手だった池永に襲われた。池永は昼ごろ、鍵のかかっていなかった2階の窓から鈴木さん宅に侵入し潜んでいた。『週刊文春』はより詳しく犯行までの経過をこう書いている。
<十月八日――。犯行直前、池永は沙彩さんの自宅内にいた。隣家の室外機を伝って無施錠だった二階窓から侵入し、 一階にある沙彩さんの部屋のクローゼットの中で身を潜めていたのだ。
その暗闇の中からスマートフォンを操作し、A君(池永の友人=筆者注)らに無料通話アプリ「LINE」を通じて、次々と唐突な文言を送り始める。(中略)
約二時間後、沙彩さんが学校から帰宅。前述の通り、沙彩さんはこの日の朝、両親と三鷹警察署を訪れ、池永によるストーカー被害を相談したばかりで、彼女が三鷹署員から帰宅確認の連絡を受け取ったのが十六時五十一分。約二分後に通話が終わると、クローゼットを飛び出した池永は、刃体約十三センチのペティナイフを手に、制服姿の沙彩さんを強襲したのだった>
週刊ポストで捜査関係者がこう明かす。<「池永容疑者は京都出身。フィリピン人の母親と日本人の父親をもつハーフで、日本国籍を持っている。(中略)
身長は約180センチと大柄で、高校時代は柔道部に所属していた。沙彩さんは刃物で首や腹など4、5か所を刺され、首の動脈が斬られたことが致命傷になった。使用された凶器は、9月末に現場からほど近い吉祥寺の雑貨チェーン店『ロフト』で購入したペティナイフだったようだ。犯行は計画的で、残忍なメッタ刺しからは、強い殺意がうかがえる」>
沙彩さんは、現代美術画家の母親と映像関係の仕事に携わる父親の一人娘だった。小学生の頃からタレントとして活動し、将来の夢は女優だった。3年前には映画「冷たい部屋」(平田大輔監督)でスクリーンデビューしている。大伯父は脚本家の倉本聡氏。
逮捕された池永は取り調べに対し、「交際をめぐり恨んでいた。殺すつもりで刺した」と供述しているという。週刊文春によれば、出会いは2011年の秋だったという。京都在住の池永は立命館大学の学生だと偽り、フェイスブックで沙彩さんと知り合った。遠距離恋愛の始まりだった。
セックス最中に動画撮られた女性「ノートパソコン覗いたら全裸女性の画像いっぱい」
だが、池永は沙彩さん以外の女性にも「卑劣な腹いせ行為」をしていたというのである。被害者は兵庫県在住のB子さん(24)。B子さん本人とその家族から事情を聞いた人物がこう打ち明けている。<「一昨年の秋頃、出会い系のチャットで知り合ったのが池永でした。ハーフで英語が得意だといい、モデルのようなイケけてる写真を送ってきたそうです。会うようになって何度か体を重ねたが、行為中に携帯で動画を撮られた自覚があったとのことでした。
その後、池永が持ち歩いていたノートパソコンを覗く機会があり、B子さんはその中に大量の女性の裸の画像を保存したファイルを見つけてしまった。池永本人らしき男が映りこんでいるものもある。B子さんは池永に不信感を抱き、もう会わないと切り出した。それが昨年の二月のことだったそうです」>
しばらくして、 B子さんのもとに池永から『恨みのメール』が送られてきた。<「そこにはURLが貼られていて、リンク先に以前撮られた動画がアップされていた。女性は友人男性に相談し、池永に削除するようかなり強い口調で電話をしてもらった。池永はその際はあっさり謝罪して引き下がっている。今回の事件後、B子さんの家族に警視庁から電話があり、事情を聞かれたそうです」>
沙彩さんと池永の交際は1年弱のようだ。彼女から別れを切り出したが、池永のほうは未練たっぷりで、よりを戻したいと訴えていた。今年6月、沙彩さんの父親が池永に娘に連絡をしないでくれと通告している。そして両親と一緒に三鷹署に相談に行った日に、彼女は刺されてしまったのである。
桶川女子大生殺人事件でストーカー法がつくられたが、その後もストーカー殺人は後を絶たない。法を生かす警察側の積極的な運用が必要なのではないか。
「週刊朝日」編集長セクハラ更迭「政治家並みに『身体検査』必要だ」はチトやりすぎ
『週刊朝日』に続いて、集英社の『週刊ヤングジャンプ』編集長(46)が強盗容疑で逮捕されるという事件が起きた。タクシー運転手に暴行して料金を踏み倒したとして警視庁に強盗容疑で逮捕されたのだ。本人は「タクシーに乗ったが、金は払った」といっているそうである。
払わなかったのはたった710円。泥酔していて運転手に暴行したようだが、警察沙汰になる前に何とかならなかったのだろうか。私も若い頃に運転手のいい方に腹が立って揉めたことがあるが、料金は払ったからそれ以上にはならなかった。710円で集英社を棒に振るかもしれないとすれば、高いタクシー代になったものである。
セクハラで更迭された前編集長に替わった長友佐波子(ながとも さはこ)「週刊朝日」新編集長が、今週号の新任挨拶でこう書いている。「前編集長は重大な就業規則違反があり、8日付で懲戒解雇処分となりました。昨年、小誌は橋下大阪市長の差別記事を掲載した反省から『家庭で安心して読めるニュース週刊誌』を目指してスタートしたばかりでした。1年にも満たない時期での不祥事に読者の皆様の期待と信頼を再度裏切ることになりました。深くお詫びします。(中略)
たいへん厳しい状況ではありますが、1922年発刊、92年目を迎えた週刊朝日が社会から信頼される雑誌となるために、編集部一同、初心に帰って努力していきたいと思います」
せめて創刊100周年まではがんばってほしいものだが、このセクハラ騒動、出版界では大きな話題になっている。産経新聞の[週刊誌ウォッチング]で花田紀凱「Will」編集長は、「政治家のみならず、今後朝日では編集長の『身体検査』も必要だ」と書いている。花田さんは親しい先輩なので異を唱える気持ちはないのだが、チトこの言葉にはひっかかる。たしかに今回のセクハラは酷すぎるとは思う。週刊朝日の編集長になる人間には事前の「身体検査」が必要なのかもしれないが、私の知る限り、新聞界は知らないが、出版界は女性問題には寛容な職場である。
出版界は女性トラブル・艶聞も「肥やし」 かくいう私も…
私がいた出版社には、女性問題を抱えた先輩や同輩、後輩がいくらでもいた。社内の女子社員を妻と愛人にして、定年過ぎた今でも続いている先輩。年の離れた女性編集長と海外でも逢瀬を重ねていた元上役。今はない『噂の真相』に部下の女性との『逢い引き』を隠し撮りされた某週刊誌編集長。愛人が8人いて、1週間では回りきれないと嘆く後輩。人気女性ミステリー作家とW不倫で刃傷沙汰にまで発展してしまった某局長。漫画家と編集者の不倫など掃いて捨てるほどある。
私が『月刊現代』にいた頃、朝、編集部に行くと、アルバイトの女の子が一枚のFAXを持ってきて「これどうしましょうか」と聞く。見てみると、他のアルバイトの女性が、彼女に横恋慕している先輩に対する『怒り』の文面だった。彼女に対して件の先輩が、オレと付き合わないのだったら編集部にはいられないようにしてやるといったというのだ。そんなことをいうとは見えない優しい先輩なのだが、彼女は他人が見るとわかっていながらFAXを送ってきたのである。女の怒りは怖いと思ったものだ。
だが、女性問題で出世ができなかったとか更迭されたという話を、私は知らない。出世できなかったのは編集者としての資質に欠けていたのだろう。私も花田さんも、編集長になる前に身体検査をされていたら、編集長にはなっていないだろう。
セクハラというのも嫌な言葉である。編集長になってから「ヘア・ヌード」という言葉をひねり出し、毎号ヘアの出ているグラビアページを女の子に持たせて、校閲などに持っていってもらった。当時、アメリカの支社に行って驚いたことがあった。半数以上が女性だったが、『週刊現代』や『フライデー』が回覧されるとき、ビニールでくるまれているのである。女性たちの眼に触れるとセクハラで訴えられるからだと聞いた。今なら、私が編集部の女の子から訴えられれば、間違いなくセクハラである。
週刊朝日の前編集長の行為は、私から見ても度を越していると思うから更迭は致し方なかろう。編集者が女性関係にルーズであっていいとは思わない。だが、男女関係の機微は編集者の肥やしでもある。
私は後輩編集者たちによくいう。酒を飲んでも異性と付き合っても、映画を見ても旅行に行っても、すべてが仕事に結びつくなんてものは他にはないのだから、編集者は素晴らしいのだと。身体検査をやり出すと、今でもおもしろい編集長が少ないのに、沈香も焚かず屁もひらず人間ばかりになるはずである。それではおもしろい雑誌はつくれないと思うのだが。
米国デフォルト回避!危なかったリーマンショック以上の世界経済崩壊
週刊現代でニューヨーク市立大学名誉教授霍見芳浩氏が、「もし米国がデフォルト(債務不履行)したら…。現在、10月20日前後が、米国政府のキャッシュフローが尽きる限界点だと言われています。デフォルトすれば、米国債の信用がガタ落ちして買い手が付かなくなるわけですから、一気に金利が上昇して大混乱に陥る。
2008年はリーマンブラザーズの破綻によってウォール街が崩壊し、金融危機が起こりましたが、デフォルトはそれ以上の影響が出ることになります」と心配していたデフォルトだが、<米議会の上・下院は16日夜(日本時間17日午前)、米政府の債務(借金)上限を来年2月7日まで引き上げ、政府の一部閉鎖も解消する法案を可決した。オバマ大統領は法案にすぐに署名すると明言しており、米政府の債務不履行(デフォルト)が回避された」(10月17日11時24分の『asahi.com』より)
だが、これでまたオバマ大統領の指導力が低下していることがはっきりしたようである。
「特定秘密保護法」公明党も合意…嗚呼、治安維持法がよみがえる
週刊朝日は安倍首相が進めようとしている「クビ切り特区」はブラック企業を後押しする政策だと難じている。日本の経営者側が従業員を解雇しやすくしてほしい、そうでないと雇用の移動が円滑にできないし、これが経済成長を阻んでいるという『身勝手な』いい分を取り入れ、9月20日、安倍首相が産業競争力会議に指示した考えである。
ワーキンググループの八田達夫座長がこの会合に提出した資料によるとこうである。「(1)有期契約で5年以上働いても、契約社員が無期契約になれる権利をあらかじめ放棄できる(2)入社時に解雇の要件や手続きを明確にする(3)一定の年収などがある人が希望すれば労働時間の規制を外せる」
こうした憲法違反とも思える特区をつくり、全国へ拡げていこうというのが安倍首相の考えのようだが、こんなことが特区といえども許されていいはずはない。クビを切りやすくするすることが景気回復に役立つとでも思っているのだろうか。日本総研の山田久チーフエコノミストが批判する。
<「雇用制度の変更は、労使の合意が前提でしょう。そのうえで政府が、企業側には産業振興、労働者側に賃上げと失業対策を講じる。この3点セットで議論しないと、日本経済は活力を取り戻しません」>
その通りであろう。だが私はこの特区が成立する可能性はほとんどないと思う。それは反対する側のネーミングのうまさにある。「クビ切り特区」に賛成する議員は、次の選挙で選挙民から見放されるのは確実だからである。
心配なのは特定秘密保護法案のほうである。ついに公明党が自民党と合意してしまった。<政府と公明党は16日、特定秘密保護法案の修正案で大筋合意した。政権は『知る権利』『取材の自由』を明記し、新たに公明党の要求に沿って、取材活動を『著しく違法・不当でない限り、正当な業務行為と位置づける』との趣旨の文言を盛り込む。公明党は『知る権利』が担保されるとして法案の了承手続きに入る>(10月17日付朝日新聞)
これで今国会での成立が決まってしまった。嗚呼! 取材活動が「著しく違法・不当でない」と判断するのは権力側である。どうにでも恣意的に運用できる危険極まりない法律で、決まり切ったいい方でイヤだが、戦前の治安維持法を超える悪法だと思う。
青空を見てもだんだん暗くなるような気がするのは、私の白内障のせいばかりではないはずだ。