追い込まれる「父子家庭」グチる相手なく孤立深める父親…子育て熱心ほど暴発

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   5歳の長男に暴行し死亡させたとして先月6日(2013年9月)、4人の子どもを育てるシングルファーザーの父親が逮捕された。父子家庭が急増し、「他人ごとではない」と大きな波紋が広がっている。

   それまで子育てや家事に関わらず仕事一本できた父親が、ある日突然、育児、家事一切の責任がかぶさり窮地に立たされる。そんな父子家庭がこの10年間の間で増え、平成15年度比で23年度は28%増の22万3000世帯に達している。ひとり親の相談のべ件数は母子家庭の1万1548件に比べ、父子家庭はわずか142件だった。父子家庭は母子家庭の6分の1とはいえ、あまりに少なく孤立を深めているのではと懸念されていた。心配が現実になった虐待死事件だった。

長男暴行死させた45歳父…「イライラしていつもの比でないくらい殴ってしまった」

   東京江東区で、9歳、8歳、3歳の娘と5歳の長男の4人を一人で育てていた大平洋一被告(45)は、長男が下着のまま幼稚園に行こうとしたため注意したところ、うまく着替えられなかったことに腹を立て全身を殴ったり蹴ったりしたという。長男は病院に運ばれたが死亡した。

   では、大平はどんな父親だったのだろうか。勤めていた建設会社が倒産して4年前に失職し、昨年に離婚した。4人の子どもを引き取り、生活保護を受けながら一人で子育てを頑張っていた。福祉事務所を毎月1回訪れていたが、とくに変わった様子はなく、ケースワーカーによる自宅訪問でも異常はなかったという。亡くなった長男が通っていた幼稚園の園長は「手作りのお弁当を毎日でしっかり作っていました。『お父さん本当に頑張っているね、ありがという』っていう感じでしたね」

   同級生の母親も大平の印象をこう語る。「ちゃんと保護者会には来ていたし、子育てには一生懸命でしたよね。お子さんがノートか何かを忘れたらしく、お父さんが届けてくれたときも、『忘れやがって』といった感じで、拳骨でコツンって。一人だから厳しく育てているのかなと感じました」

   警視庁の調べに、大平は日頃から長男には手をあげていたことを認めている。その理由について「男なので強くあって欲しいと思った」と話している。事件当時の自分の心境について、「イライラして子育てに疲れていた。いつもの比でないくらい殴ってしまった」と供述しているという。

   仕事を失い人付き合いが減った大平は、子育てについて周囲に相談することはなかったようだ。幼稚園の園長は「いろいろ話をしても、大変だとか弱音をはかれる方ではなかったのです。今にして思うと、男一人でも育てなきゃという気負いがあったのかな」と言う。

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