こちらの花火大会はゲリラ雷雨による受難だった。交通機関がマヒして帰宅困難になった見物客5000人超は、開放された公共施設で一夜を明かすはめになった。
この花火大会は15日(2013年8月)に行われた長野県諏訪市の「諏訪湖祭湖上花火大会」で、水上スターマインや全長2キロの巨大ナイヤガラなど4万発の花火を楽しみに、毎年50万人の見物客が訪れ、今年も華やかな夏の大イベントが繰り広げられるはずだった。
開始30分後に記録的集中豪雨
花火大会開始前の午後4時前後から雲行きが怪しくなった。雷雲が覆い始め、ときおり稲妻が光り強い風が吹き始めた。そこへ突然の大粒の雨。それでも、早めに集まった見物客は雨天決行とあってか、ビニールシートをかぶって雨をしのいでいた。
打ち上げが始まる午後7時ごろには雨も小ぶりになり、予定通り決行されたが、開始30分後に再び大粒の雨が降り出した。統計を取り始めてから最大の1時間(午後7時半~)74・4ミリという降雨量を記録した。
ここで花火大会は中止となったが、さらに見物客が混乱したのはこのあとだった。JRも交通機関は運転を見合わせ、高速道路は通行止め。5000人超の見物客が帰宅困難になった。帰れなくなった人は市が開放した14か所の公共施設で、貸し出された毛布に包まって一夜を凌いだが、受難の花火大会に「まるで修行にきたようだ」とのぼやきも聞こえる。
判断難しい事前に中止決定
今年はゲリラ豪雨のために花火大会が中止になるケースが多い。今回のケースでは、午後4時前後の雲行きについて気象予報士は「雷雲が覆い始め、風が吹き、空と陸地が繋がる雨柱が立っており、30分以内を目安に雨が降り出すのでしっかりした建物に避難すべきだった」という。
といって、この時間に花火大会の中止を決めるのは難しい判断だ。ゲリラ豪雨の難しさについて、コメンテーターの吉永みち子(作家)はこう指摘した。
「ゲリラ豪雨で中止の決定がしにくいのは、もしやんだり、降らなかったら大変な責任問題になり、皆から突き上げられるからでしょう。安全を重視して中止を決定し、外れたときの私たちの態度も考えないといけない」