領土狭くても農産物輸出大国オランダ!コンピュータ制御「スマートアグリ」で農業再生

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   高さ6メートル以上もあるビニールハウスで育成されているのはトマトなどの野菜類だ。しかし、育成管理は農家ではなくコンピューターが担当している。アメリカに次ぐ農産物輸出大国となったオランダは、ハイテク農業に力を入れている。

   キャスターの国谷裕子は「オランダは九州と同じくらいの面積ですが、農業人口は減少しています。そうした中で開発されたのがスマートアグリでした」と説明する。

ビニールハウスの光、温度、湿度、土、水、CO2濃度すべてパソコン管理

   フランク・フォン・クレーフェさんは日本のIT農業や植物工場とは桁違いの規模と徹底ぶりで、トマトやパプリカなどを栽培している。ビニールハウスは東京ドーム何十倍もの敷地、光量やCO2濃度など500以上の項目をコンピューターで制御している。クレープさんは毎朝ビニールハウスには向かわず、事務所のパソコンに向かう。「このパソコンで温度や湿度の管理をしていますトマトの輸出で年商1億円以上になるかな」と語る。ハウスの中は土の代わりの人工繊維に植えられたトマトに、1日60回自動的に殺菌した水が供給され、CO2の自動散布される。

   国谷は「オランダはかつて農業大国でした。でも、その後にスペインなどが参入し、その地位を奪われました。その立場を取り戻すためにスマートアグリが開発されたのです」と伝える。

ハイテク日本でなぜか導入進んでいない農業分野

   ハイテク農法は日本の農業にも影響を与えている。農家にハイテク導入を奨励したハイテク企業代表の岩佐大輝氏は、「去年オランダを訪問したとき、日本では見たこともない農法に出合いました。これは凄いと思いましたが、考えてみるとさまざまな産業にハイテク技術が浸透しているけど、農業には入っていないんですね。そこで、日本の農業にハイテクは使えないかと考えたんです」という。

   国谷「くまモンの熊本県は19年連続でトマトの日本一生産県となっています。でも、出荷先はほとんどが国内で、輸出農産物にはなっていません」という。伊藤保(三菱総合研究所主任研究員)は「オランダではコンサルタントが参加し、スマートアグリについてさまざまなアドバスをしています。対象はトマトやパブリカなど戦略的な輸出農産物です。世界に広がりつつあるオランダのスマートアグリ農法がまたオランダに戻り、さらなる新農法を開発しようと取り組まれています」と説明した。

   国谷「日本もオランダと同じような農産物の輸出大国になれるでしょうか」

   伊藤「国内では人口が頭打ち。国内市場ばかりを相手にしていては日本の農業再生はできません。でも、東南アジアや南アジアではこれから人口が急増します。スマートアグリで輸出大国になれる余地は十分あります」

   ただ、スマートアグリに転換するためには、資金の調達、耕作地の集約化が必要だろう。その点について突っ込んだ分析はなかった。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2013年5月20日放送「農業革命『スマートアグリ』」)

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