東京真下に「地球3周分の地下迷宮」心配な地震・津波で首都壊滅

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   先月16日(2013年3月)、地上の鉄道を一夜にして地下に潜らせる工事が立て続けに2件行われた。世界最長となる首都高速のトンネル工事も完成間近を迎えている。東京23区内の電気、ガス、通信ケーブルなどのインフラも地下に潜り、これらを繋ぎ合わせると10万キロ、地球3周分に達するという。もし地震や津波が襲ったらどうなるのか。まさか出たとこ勝負では済まされない。

地下鉄・副都心線と新宿線わずか11センチで交差

   東京都心の地下の模型(5000分の1)を見ると迷宮の様子がよく分かる。都心に13の地下鉄路線が走っているが、最も地上に近いところを走っているのが最初に建設された銀座線だ。日比谷線、東西線、半蔵門線と新たな路線が建設されるたびに地下深く潜り、最も深いところにあるのが地下42.3メートルの大江戸線・六本木駅という。

   東京の地下鉄は1925年に上野と浅草を結ぶ銀座線(2.2キロ)で始まった。深夜、路面電車の終電が通過した後、表面を削り取る作業を始発電車来る前まで続けまた蓋をする。これを毎日繰り返す開削工法という方法で行われた。コンクリートをふんだんに使い、工事は2年かかったが、強度は現在の工法と比較しても遜色ない状態という。

   こうした経験を生かして進化させたのが1965年の東西線の工事で初めて使われたシールド工法だ。穴を掘る後から土砂が崩れないように同時にコンクリートで壁を構築する画期的な工法だが、当初は最先端の部分の掘削は人力に頼らざるを得なかった。

   最大の敵は地下水で、思わぬところから水が噴き出したり、水を含んだ泥が崩れ落ちたりの連続だった。その地下水を封じ込めるために作られたのが先端部分を高圧空気で満たす特殊な装置だ。密閉した中で掘削作業をする。気圧は最大で地上の4倍。ひどい耳の痛みに襲われ、気温も35度を超える命を削るような工事だったという。

   今ではシールド工法も先端部分の掘削工事は機械による無人化が進み、かつては1日2メートルが限界だったスピードも20メートルにまで向上している。この最新の技術で作られたのが最も新しい副都心線である。他の路線を避けるために、上下、左右に激しいアップダウンや急カーブを繰り返す。そうした現場を目で見ることができるのが新宿3丁目駅だ。

   副都心線のホームは丸の内線と新宿線の間に作られた。しかしスペースが少し足りず、まっすぐ掘り進むと下を走る新宿線とぶつかる。そこで副都心線のホームをアーチ型に曲げて切り抜けた。新宿線との間はわずか11センチで、その11センチの間隔をあけた部分はホームの中央部分が高くなっているので実感できる。

   長年にわたり地下掘削工事に携わり、現在は国や研究機関のアドバイザーをしている粕谷太郎氏が苦労を話す。

   国谷裕子キャスター「わずか11センチ。大丈夫ですか」

   粕谷「地盤も安定しているし、列車が通過するところは常に計測し管理されているので安全です」

   国谷「副都心線は上下に交差したり、カーブが多いということですが、なぜ大都会の地下鉄はカーブが多いのですか」

   粕谷「民間の用地ですと買収でコストがかかります。使える用地は公共の道路だけで、道路の下を掘るので交差点のところでは曲がらなければならないのです」

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