ソースをコッテコテに塗ってマヨネーズをベタベタかけまくりたい。餃子に超濃厚とんこつラーメン、唐揚げ、エビチリ、焼き肉、ポテチ、デミグスソースたっぷりに肉汁溢れだすハンバーグ、ドーナツ…。手が油にまみれてテカテカ光ろうとも、グロスを塗ったように唇がヌラヌラしても気にしない。だって、大好きなものを食べているから。
これが本当はやってみたい食生活である。でもこんなこと人前で絶対に言えない。女性で油もの大好き、コッテリベトベト系が止められませんなんて、口が裂けても…。好きなのは野菜で、あっさりしたものです。油っこいものは胃にもたれるのでふだんはあんまり食べません。な~んてのが世の女性たちに聞いた好きな食事の模範解答だろう。
男性からこんなイメージを持たれていてはたまったもんじゃない。野菜好きって言っても、自分で調理するのはたまにでしょ。調理する食材の中で野菜はゴミも多くて一番面倒だし。それにあっさりしたものって言っても、ちゃんと出汁の違いが分かるのかどうかも怪しい。油っこいものは胃にもたれるってのも半分はウソ。要はダイエットしたいし体調管理がちゃんとできている自分をアピールしてるってことなのだ。
酒好き女のイベント明るく楽しく清々しい
油もの系大好きとはまだ言いにくい世の中だけれど、最近は女性が堂々と公言しても普通になってきたことがある。それがお酒じゃないだろうか。今ではワインに焼酎に日本酒にと、酒好きをアピールしても昔に比べて大酒飲み女と見下されることが少なくなっている気がする。お酒を飲む女性が増えたともいわれるし、若者世代を中心に酒離れが進むなか、女性客が消費を支えているとも聞く。女だって酒を飲んで憂さ晴らししたい。美味しいものを好きだと公言してな~にが悪いのよと開きなおって酒をあおる。女ってのは毎月血を流しながら頑張ってんだから、酒は自分へのプチご褒美なんだっつーの。と、もう酔っ払いの戯言で何が何だか分からなくなるぐらい、酒が好き。
そんな女性が多く集まるというイベントに取材で行ったとき、日頃の疲れを吹き飛ばすようにガブガブとビールをあおり、チビチビと日本酒を飲む女性たちの姿を見て、なんだか清々しい気持ちになった。男性顔負けに大ジョッキをグイっと持ちあげ喉に一気にビールを流しこむ。日本酒無料試飲コーナーに入り浸る。ここはもしかしたら天国か。そんな錯覚すら覚えてしまう。
誰もが笑顔で、泣き上戸になる者も説教くさくなる者もいない。単純に酒が好きで酒を飲むために集まって来た女性たちは、明るく楽しく美酒に酔いしれていた。女性たちのライフスタイルの取材だったけれど、酔っ払いたちからは本音がポンポンと飛び出してくる。誰も男性の目を気にせずに飲んでいるので、心も開放的になっている。なかなか突っ込んだ質問にもスラスラと答えてくれるので、こちらも仕事がしやすかった。
その取材の帰り、なんだか強烈に肉が食べたい気分に襲われたわれら女性スタッフ2人は、ここは焼き肉でも食べて力をつけておきますかと、網の上で焼かれる肉をうっとりと眺め、口に運んではその上手さに身もだえてしまった。ウマイ!やっぱり油っこいだろうが太ると言われようが、好きなものを食べてると自分が生きてるって実感する。あ~、今日も酒と肉が上手い。もっと素直に女性が油もの好きを公言できる世の中になればいいのに~。
モジョっこ