北海道名物の菓子「白い恋人」を製造販売する石屋製菓が、吉本興業の「面白い恋人」の販売差し止めを求めて訴えていた裁判は、先週13日(2013年2月)に和解が成立した。それによると、石屋製菓側は面白い恋人の存在を当初は黙認してきたというが、「東京でも売っていたと聞いて、これは見過ごせないなと。悪のりしすぎている」「商道徳としてどうなのか」(石屋製菓社長)と提訴に踏み切った。
石屋製菓側は裁判を通じて、「知名度にただ乗りして不正に利益を上げている」「これがパロディでまかり通ると多くの者が後追いする」などと主張。一方の吉本側は「アイデアや総意工夫によるパロディ商品」と反論していた。面白い恋人以外にもパロディ商品を多数発売している事情もあり、絶対に負けられない戦いだったという。
両者の言い分は相容れないものだったが、急転直下、裁判所の和解勧告を受けて、面白い恋人のデザインの変更や販売地域を関西限定することで、違法かどうかの判断は出ないままの和解決着となった。
パッケージデザイン変更して関西限定販売
この手の問題に詳しいというゲストの福井健策・弁護士は、今回のようなケースでは、パロディ商品をオリジナルの商品と間違えて買うかどうかが大きなポイントとなるそうだ。完全なパロディならば間違えることはないはずだが、面白い恋人はオリジナルとパッケージが類似しているようでもある。「ちょっと微妙だった」が、「デザインを変え販売場所の住み分けで、パロディとして成立しやすくしたことは納得できる」と評価している。
だが、石屋製菓の社長はそう納得している様子ではなかった。「裁判を長引かせてもわれわれには何のメリットはない。先方には話題になって、売れるからいいかもしれないが」とシブい顔である。そこで「100%納得はしていない?」と聞かれると、「名前には抵抗ありますね」と苦笑していた。
ボンド柳生
*NHKクローズアップ現代(2013年2月19日放送「パロディは文化?それとも違法?」)