自殺者を生んでしまった大阪の市立桜宮高校の悪しき伝統を断ち切る。橋下大阪市長がそんな断固たる決意のもとに提案して物議をかもした体育系2学科の入試中止を教育委員会が受け入れ、正式に中止が決定したという。
といっても入試が丸ごと消滅したわけではなく、体育系2学科で募集だった120名分を「『新』普通科」の名の下に募集する。この新しい普通科の詳細を見ると、これまでの体育科の歴史と伝統をしっかり受け継いでいるように見える。
入試科目少なく、運動の能力・技能試験あり。入学後も授業はスポーツ中心
入試科目は普通の普通科がいわゆる5教科のところ、新普通科は英・国・数に運動能力、運動技能が加わる。入学後のカリキュラムもスポーツに特色があるように組むといい、また来年(2014年)からは元通り、体育科を復活する方向だという。
教育委が開いた記者会見では、報道陣から「単なる看板の掛け替えではないか」といった疑問が続出。長谷川委員長も「看板の掛け替え」であると認め、「一夜漬けで不本意」などと話したそうだ。しかし、橋下は「(教育委の)すばらしい決定。単なる看板の掛け替えではない」などと絶賛したという。
番組コメンテイターからは、この「玉虫色の決着」は子供不在、教育不在のままに行われた大人同士の政治的な妥協であるとして、批判の声が上がった。
「結局、教育委員会が橋下さんの顔を立てたけど、中身はあまり変わらない。教育問題というよりは政治問題になってしまっている。子供たちからすると、大人の都合で勝手に決めたことに振り回されて、体罰とは別の悪影響が生じるのではないか」(宋美玄・産婦人科医)