先週ウラジオストクで開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)会議の場で、ロシアのプーチン大統領が野田首相に自国民へのビザの発給を頼むという珍しいことがあった。しかも「500人分を2日以内に」というムチャ振りだ。どっちにしても前代未聞。
野田首相に直接依頼「大急ぎでビザ発給頼むよ」
プーチンが頼んできたのは、会議を支えたボランティアの若者たちにご褒美として日本旅行をさせるという話だった。その508人がきのう13日(2012年9月)午前7時、横浜港にロシアの客船でやってきた。女性が圧倒的に多いようだ。ただ、日程は日帰りで、滞在は正味14時間。話も急だったらしく、受け入れたインツーリスト・ジャパンの社長も「20年やっているけど、(こんな人数は)初めて。バス15台も月曜と火曜で用意した」という。
日帰りとあって日程がすごい。午前9時に横浜港を出て、まずはランドマークタワーの展望台へ。次に東京へ移動して、正午に皇居前、午後1時に東京タワー、2時に弁当、3時に銀座、丸の内、国会。4時半浅草寺、6時お台場、夕食(弁当)、11時成田発でウラジオストクへという強行軍だった。
「モーニングバード!」がこれに密着した。横浜港の出発から1時間以上の遅れで、ガイドが「押したら、どこかを省略して」なんていってる。ボランティアたちは「初めて来た」「ワクワクしてる」などと無邪気なものだ。ランドマークタワーでは69階の展望台まで登って、「信じられないほど美しい町」「時間があれば明治神宮へ行きたい」なんていう。
ところが、飛行機の出発が2時間も繰り上がったものだから、たちまち「銀座と浅草」は吹っ飛んだ。代わりに皇居前から東京タワーと芝・増上寺になった。中には増上寺には寄らないバスも出てしまう。そしてお台場に向かって弁当食べながら成田へ直行だ。
「みんな親切で清潔で」「日本は美しい」「もっと時間があればなぁ」
それでもみんな大満足。「みんな親切で、清潔で」「また来ます」「もう1回来たい」「楽しかった」「日本は美しい、素晴らしい」「もっと時間があればなぁ」
赤江珠緒キャスター「よかったですね、楽しかったと」
長嶋一茂(スポーツキャスター)「プーチンが野田総理に直接ビザを頼むなんて、政治外交の色が」「北方領土もあるし、日本は断固とした態度を」なんて訳のわからんことをいう。小松靖アナまでが「押せばできると思われる。外交力の弱さだ」と頓珍漢だ。
そうじゃあるまい。ビザといい、相当なドタバタだったのは、現地に来たプーチンが「ボランティアよくやった」と急に思いついたからに決まってる。だから日帰り。船も飛行機も外貨が要らない自前の定期便という ことだ。500人分を2日でやらされたウラジオストクの領事館は大忙しだったろうが…。