<主に泣いてます(フジテレビ系土曜よる11時)>原作は東村アキコの漫画で、その美貌ゆえに薄幸人生を生きる不幸美女と彼女を守ろうとするご近所さんの騒動をコメディタッチで描くものだ。美人絵画モデル・紺野泉を演じるのはドラマ初出演にして初主演の菜々緒、相手役の美大生・赤松啓介をKAT-TUNの中丸雄一、泉を男たちから守るツンデレ女子中学生・緑川ツネを草刈麻有、泉を愛人にする画家・青山仁を風間トオル、その妻・由紀子を安達祐実が演じている。
安達祐実の狂気がかった演技 「家なき子」以来の当たり役
原作の雰囲気を忠実にドラマ化することでギャグ満載のシュールなドラマに仕上がっている。素顔を見せるとすぐに男に惚れられてしまうので、泉は美貌を隠すため、子泣き爺やねずみ男など毎回違うコスプレをする。そんな奴いないだろーと思いながらも、次はどんなコスプレをするのかだんだん楽しみになってくる。
たとえば、第4話では男に追いかけられた菜々緒が突然、「金髪豚野郎!」と叫び、泰葉の「フライデー・チャイナタウン」を歌い出す。その横でツネが「ご覧のとおり泉さんは今、情緒不安定なんです」と男に向かって告げるのだが、いまさら小朝と離婚した頃の情緒不安定な泰葉ネタを持ってくるなんてと思いつつも、クスッとしてしまう。30分ずっとそんな調子のドラマだ。
複数の男を手玉に取ってうまくやっていけそう菜々緒と、控えめな性格の泉とのギャップがあり過ぎでひっかかるが、初主演のわりにはよくやっているほうだし、ほかの出演者もみんな芸達者ばかりだ。とくに、安達祐実の狂気がかった演技は、「家なき子」以来の当たり役ではないかと思えるほどである。
残念ながら視聴率は芳しくないらしいが、そんなことは関係ない。あまりにもバカバカしいので人に勧めるのは気が引けるが、夜中に1人でこっそり見るには最高のドラマだ。好き嫌いは分かれると思うが、食わず嫌いはよくない。ストーリーなどあってないようなものだし、今からでも十分話しについて行ける。騙されたと思って一度見て欲しい。(くろうさぎ)