最初は韓国選手を勝ちとする青旗3本が上がった。しかし、その直後に畳の下にいる審判委員が畳の上にいる審判3人を呼び、「意見」を伝えると判定は覆り白旗3本になった。これで男子柔道66キロ級の海老沼匡は準決勝に進んだが、決勝には勝ち上がれず3位決定戦で銅メダルに決まった。「金メダル以外は価値がない」と語っていた海老沼は釈然としない表情だ。なぜ判定が変更になったのか。キャスターの小倉智昭は会場で見ていた。
青旗3本が白旗3本に真逆転
ピンチヒッター司会の笠井信輔アナウンサーが小倉に聞く。「青旗が3本出たとき、観客の雰囲気はどうでしたか」
小倉「もう大ブーイングでした。これには伏線があって、この前に海老沼選手は相手から有効を取っていましたが、その判定が取り消されました。その頃から、この判定は変だぞという雰囲気が広がり始めていたのです」
田中大貴アナ「試合が行われる畳の上には主審と副審2名の計3名の審判がいますが、畳の下にジュリーと呼ばれる主審よりも強い権限を持つ役員がいて、この人が審判にいろいろな指示を与えています。ジュリーの指示は審判が身につけているイヤホーンから出されています」
「審判員を審判する役目」ロンドン五輪から導入
1988年のソウルオリンピック女子柔道で銅メダルを獲得したゲストの山口香は、「ジュリーというのは審判員を審判する人で、今回の大会から導入されました。強い権限が与えられていますが、その権限がどこまで及ぶのかが明確ではなく、そのために今回のような混乱が起きるのです」と解説した。
田中「これまでに15試合で判定の変更がありました。ジュリーがいるならジュリーが審判すれば審判員はいらないだろうと言う人もいます」
小倉「選手たちが可哀想。審判を巡って協議をするたびに試合が中断されるので集中力が途切れてしまう」
そもそも、柔道の判定は大技が決まったときはともかく、素人には分かりにくい。