小池桃乃ちゃん(5歳)と母の高美さんはまさに危機一髪の体験をした。幼稚園からの帰り道、家の近くまで来て、桃乃ちゃんは母の手を振りほどいて道路の反対側に渡ってケンケンパをしながら歩いていた。「家も近いし、手を握ってなくてもまあいいかと油断しました」と高美さんは言う。
その時、後ろから車が近づいて来たので高美さんは叫んだ。「そのまま歩きなさい」。すると、桃乃ちゃんは振り返って、車の前に飛び出したのだ。車が急ブレーキをかけたので、なんとか事故にならずにすんだが、引かれていてもおかしくなかった。
実践女子大学の松浦常夫教授はこう警告する。「子供は気分が高揚していると衝動的行動を取りやすいです。お母さんの『そのまま歩いて』の声掛けが引き金になって飛び出しを誘った。結果論だけれども、声は掛けないほうがいいし、近づいた車を母親が停止させて自分も子供の側に行くべきでしたね」
左右確認横断のクセが付く実験
夏休みには子どもの交通事故が急増する。警視庁の調べでは、中学生を含めた子供の事故は冬が652件、春が759件に対し、夏は924件と非常に多い。原因は飛び出しが40・3%と圧倒的だ。
スタジオでは、子供の視角がどれくらい狭いかを体験できる「チャイルドビジョン」を全員掛ける。井ノ原快彦キャスター「ええ、こんなに狭いの。これだと中谷さんが全然見えません」
中谷文彦アナ「大人の視角は水平だと150度ですが、6歳の子供だと90度しかないんです。垂直方向も大人は120度ですが、子供は70度しかありません」
横断歩道の左右確認をきちんと実行するために、ある実験が行われた。奈良佐保短大の山口直範教授によると、「親子で渡るときに、お母さんに目隠ししてもらい子供が導くという方法です。子供は自分がやらなくてはという責任感が生まれてより慎重になり、左右の確認回数も増えました」
ファクシミリのアイデアにこんなのがあった。「車が来ると、私が『忍者』と叫ぶと、子供はピッタっと壁にくっついて車をやり過ごしていました」
そう、遊びでやるのがいい。
(磯G)