滋賀県大津市の中学2年の男子生徒の自殺をめぐるいじめ問題にようやく県警の捜査が入った。生徒の事件で中学校に警察の捜査が入ることはあまりないが遅すぎた。岸本哲也リポーターが大津市長と市の教育長を直撃した。
「全部見れば見れたけど、私は(自殺練習は)確認しておりません」
越直美市長(36)は北海道大学法学部卒業で、ハーバード・ロースクールを出た才媛だ。今年(2012年)1月、女性最年少の市長として当選した。その越が涙を流しこう語った。
「混乱させる状態になったことについて、いまいる子どもたちに対し大変申し訳ないと思っています。私は教育委員会の2回の調査は今となっては不十分でずさんなものだったと思っていて、隠蔽しようとする体質があるのか、まったく不注意なのか、私自身、信用できないと思っています。 いじめと自殺の因果関係はあったという前提でこれからしっかり調査をしていきます」
学校側は全校生徒に対し行った2回目のアンケート調査を隠していただけでなく、自殺した生徒の遺族にアンケート結果を提示する際も、マスコミに口外しないという確約書を交わしていた。2回目のアンケート結果の報告書は市教委に提出されていたが、沢村憲次市教育長はのらりくらりでこう答えた。
「A4の資料で3~4枚あったのをスーと順を追って見た程度だった。新しい事実は発見できませんという報告だったので、うちとしてはその通りと受け止めた。全部見れば見れたはずだったが、私は確認しておりません。見落としていました」
いじめがあった事実を認識しながら、沢村は依然として「自殺との因果関係については、私どもは分からない、判断できない」という。さらに、「いじめがすべてではない。別の要因もあったはずだ」と、自殺の原因が他にもあったという。ならばなぜその要因を言わないのか。
元国立市教育長「都合の悪いことは見ない。責任感が全く欠けている」
教育評論家の石井昌浩・元国立市教育長が出演し沢村を批判した。「子どもが一人亡くなっているのに、もうじき夏休みに入る。滋賀県警は8月中には立件できるかどうか判断するという。市側も9月の新学期までに、5人の教育長を含む教育委員と校長をはじめとした学校側幹部を一新し、出直す体制を固める必要がある。
越市長はよほど泣き虫なのか、最初の会見でも泣いていた。市長に就任し半年ほどでは荷の重い試練かもしれないが、泣いている場合ではない。泣いているのは自殺した生徒だ。