5歳の長男を虐待して死なせた若い男女が逮捕された。児童相談所が4年半前から母親の虐待を把握しながら、防げなかったことがわかった。逮捕されたのは埼玉県朝霞市の無職・草川彩夏(23)と交際相手の無職・佐久川光弘(23)だ。
事件が起きたのは9日(2012年7月)夜で、草川から「子どもが呼吸していない」と119番通報があった。救急隊員が駆け付けたところ、長男は心肺停止状態で、搬送先の病院で死亡が確認された。子どもの体には10数か所もアザがあった。
児童相談所が2度保護。帰宅直後から「壁ガンガン叩いて拷問」
調べに対し、草川と佐久は「なつかないので殴った」と話しているという。しかし、母親の虐待は生後6か月の時から始まっていて、児童相談所もその頃に把握し長男を2度保護していた。最近、草川は佐久と同棲生活を始めたため「養育困難」の申し出あり、児童相談所が長男を保護した。5月になって草川が「育児がしたい」と連絡してきて、児童相談所は「今後は子どもに暴言・暴力を振るわない」との約束を交わして長男を帰宅させた。
ところが、その後も虐待は繰り返されていた。同じアパートの住人によると、「母親が壁をガンガンと叩いて『立て座れ』『立て座れ』を何度もやらせて、終わると男に代わって同じことをやっていた」という。
子どもの保護だけでは間に合わない「壊れた親」
小倉智昭キャスター「こんなかわいい子を死ぬまで虐待しますかね。児童相談所も防げたと思うんですが」
虐待問題に詳しい山梨県立大人間福祉学部の西澤哲教授は、「十分防げたケースと思います。児童相談所は裏にあるものを理解していなかったのではないか」という。ただ、こうした疑問は、事件がある度に呟かれてきたことだが、女優の高木美保がこんなことを言った。
「子どもの保護も大事だが、子どもを保護している間に親のケアがどれだけできるか、日本では足りていないのではないかと感じる。親の精神状態や育児について客観的に相談できるところがないと、いくら児童相談所で頑張っても救われないと思う」
逮捕された草川は未婚のシングルマザーで、生活保護を受けていた。驚いたことに現在、妊娠5か月ぐらいで11月には出産予定という。子育てができないのに、また子どもを産むのか…。どういう裁きになるのか分からないが、いずれまた虐待を繰り返す可能性もないとはいえない。