女子中学生自殺判決「いじめなかった」ここでも責任逃れの生徒アンケート

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   大津市の市立中学で生徒の自殺といじめについて訴訟が起きているが、きのう9日(2012年7月)、別の中学の生徒の自殺をめぐる裁判で東京地裁は「いじめがあったと認めることができない」として両親の訴えを棄却する判決を言い渡した。

「学校生活は楽しいですか」と誘導設問

   自殺があったのは2005年10月。埼玉県北本市の中学1年、中井佑美さん(当時12)が自宅近くのマンション屋上から飛び降り自殺した。自宅には「死んだのは、(中略)クラスの一部にテストのせいかも」などと書かれた遺書があった。両親は自殺の原因はいじめだったとして、市と国を相手取り約7670万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。父親は「きもい、うざい、死ね、などといわれていた」といじめの事実があったと主張していた。だが、判決は「自殺の原因となるようないじめはなかった」と結論づけた。

   この学校でも自殺後に生徒にアンケートを行っていた。リポーターの清水貴之が実物の拡大版を示しながら説明する。タイトルは「学校生活アンケート」。設問は「今、学校へ来るのは楽しいですか」「学校生活で、何か心配なことや、気になることはありますか」といったものだ。

   清水「自殺があったこととか、いじめのこととかについての質問はありません。生徒たちは何のアンケートかよくわからず答えさせられて、この結果をもとに学校も裁判所も判断しています。しかも、この内容でさえ開示していません」

   司会の羽鳥慎一「大津市のアンケートも隠蔽ではないかといわれていますが、こっちはもっとひどいですね」

いじめ遭ったことない裁判官にいじめわからない

   判決ではこうした学校の調査についても、「不適当とはいえず、隠蔽の事実も見当たらない」とした。弁護士の田中喜代重が解説した。「いじめと自殺の訴訟では、(1)いじめがあったのか(2)いじめと自殺に因果関係があったのか(3)いじめから自殺が予見できたのかの3つのハードルがあります。この判決では(1)ではねられてしまった。

   結局、いじめとは何かという話になるが、はっきりいって、裁判官によってかなり受け止め方が違います。本人の目線に立つかどうかです」

   教育評論家の尾木直樹は判決を厳しく批判する。「いじめの定義そのものが2007年に変わっています。本人がいじめと感じたらいじめになんです。今回はそれに基づかないで裁判が行われた。裁判所の怠慢です。とんでもない」

   足を踏んだ側は踏まれた側の痛みはわからないというが、いじめを受けた側の苦しみはいじめられた体験を持つ側にしかわからない、ということなのか。

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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