<家族のうた(フジテレビ系日曜よる9時>たいていの方はご存じだろうが、いま話題のドラマである。好評なのではなくて、その反対、ほとんど前代未聞と言われる低視聴率で、途中打ち切りとなるからだ。原因はいろいろ取り沙汰されているが、基本的には「柳の下のドジョウ」を狙いすぎたのではなかろうか。
いくら「ハートウォーミング」なドラマチックサンデー枠とはいえ、気楽な独身男が子供たちを押しつけられるという設定が重なりすぎたのではないか。「マルモのおきて」の思わぬ大成功(?)に味をしめたのか、「僕とスターの99日」だってそうだったし。
それにまずタイトルにげんなりした。「家族のうた」だあ。もうそれだけで見る気が失せた。「家族、家族、絆、絆」って、この1年間、聞こえっぱなしで、食傷気味なのだ。こういう言葉って「愛」と同じように、あんまり唱えすぎると薄っぺらになるよね。「ふれ愛」とか言っているそこのお前、「愛」って何だと思ってるのと聞いてみたくなる。
打ち切りも当然の「二匹目のドジョウ」狙いすぎ
ま、でもオダギリジョーは好きなので、気を取り直して見てみた。半分剃って半分長髪にした頭、けっこう素敵。とくにチョンマゲみたいにキリッと結んだ形がいい。イケメンを超えた「美男」だから何でも似合うが、バカ高い厚底靴をはいて走る姿は笑える。
パンク関係の人とは付き合いがないのでよくわからないが、ロックの人って、基本、ツッパリ純情系なんじゃないかなあ。主人公・早川正義(オダギリジョー)を、その純情さが「空気を読む」全盛の今とズレているが、それゆえ愛すべき男として、もっと分かりやすく描いたほうがよかったんじゃないかな。今は感情移入できないただの自分勝手男に見えてしまっている。あ、これ、でもオダジョーのせいじゃないからね。
いっそ、子供との家族愛よりも、マネージャー・三木(ユースケ・サンタマリア)とのSM関係にも似た友情に焦点を当てたら新鮮になったかも。それから、音楽だけには真剣な主人公なのだから、各回に1度は心を打つような音楽を演奏するシーンを入れて、「感動の見せ場」を作ったらよかったのに。
(カモノ・ハシ)