福島第1原発事故当時に官房長官だった枝野経産相が27日(2012年5月)、事故の検証を進めている国会の国会事故調査委員会に参考人として呼ばれ、聴取に応じた。菅政権のスポークスマンの役割を担っていた枝野だが、この日に問われたのはその情報発信のあり方だった。
やっと認めたのは3か月後に海外向け
メルトダウンを政府が認めたのは国際原子力機構に報告した昨年6月で、事故から3か月もたっていた。公表の大幅な遅れについて問われると、枝野は「炉心損傷の可能性については、3月13日午前中の記者会見の段階で、『十分可能性があるということで、その想定のもとに対応しております』と申しあげた」と開き直った。
委員から「多くの国民は、6月までそんなに深刻な事故とは感じていなかったのではないか」と突っ込まれると、「もしかすると思い込みを反省しなければならない側面があるのかなと…」とまるで他人事のような答えだ。さらに、「炉心も溶けているし、漏れているのはあまりにも大前提で、改めて申し上げる機会がなかった」と驚きの発言が続く。
首相官邸「情報疎外」のまま今度は原発再稼働
傍聴した女性は「責任ある立場として、あのような言い方しかできないのは疑問だ」と不信を募らせた。青木理(元共同通信記者)も枝野の無責任ぶりに怒る。
「委員会を見ていて非常に腹立たしかった。番組VTRには出てこなかったが、枝野さんは首相官邸に報告されていないことが、東電や原子力安全・保安院の会見で明らかになっていたことに怒りをぶちまけていたが、こんな状況のまま、検証もしないで東電は原発の再稼動をすると言っている。こんな会社にやらせて大丈夫かという根本問題が残っている」
事故調査委は28日には事故当時の菅首相が参考人として呼ばれ聴取を受けるが、どんな『驚き発言』が飛びしてくるか。
文
モンブラン