ワシントンに滞在中の石原慎太郎・東京都知事が16日(2012年4月)、 「尖閣諸島を買うことにいたしました。東京が尖閣を守ります」と講演で明らかにした。口ぶりはおだやかだったが、これは騒ぎになりそうだ。
石原は「日本の政府が嫌がるかどうか。どこの国が嫌がろうと、日本人が日本の国土を守るために島を取得するのはなにか文句がありますか」と挑戦的だ。昨年末頃から地権者と協議していて、売買について「基本的に合意している」という。
「価格はまだ言えないが、そんなに高くないよ」
買い取るのは、魚釣島、北小島、南小島の3つで、いずれも個人の所有だが、無人で地上施設もない。中国はこれに領有権を主張して漁船が領海侵入を繰り返し、1昨年には巡視船に衝突する事件まで起こしているほか、漁業監視船や航空機もひんぱんに現れている。
石原は買い取る理由を「中国から守るには、いまの政府の姿勢じゃ危ないから」という。価格は「まだ言えないが、そんなに高くない」。都民の理解を得られるかという問いには、「東京がやることは、『国のため』が大原則ではないか」と述べた。
日本テレビ・ワシントン支局の青山和弘記者は、ニュースの中で「知事は講演のあと、記者団に『面白い話だろ』と笑顔をみせた。今後は日本政府や中国の反応が焦点となります」といったが、それだけ。「スッキリ!!」も紹介したのは、「とれ丸」コーナーとニュースだけで、それもフラッシュ扱い。司会の加藤浩次もキャスターのテリー伊藤もコメントはおろか、顔すら出さずだった。石原新党をめぐって複雑な動きが見られる中で、さらにホットでややこしい話が飛び出してきたわけで、どう扱っていいのか誰も判断がつかなかったのだろう。触らぬ神に…ということか。
この問題では、中国相手に煮え切らない政府の姿勢にだれもが思うことのひとつやふたつはある。石原は意図的に火をつけたわけだ。その是非はともかく、発想力には負ける。