福井・高浜町の高浜原発3号機が定期検査に入り、関西電力のすべての原発が停止状態になった。町を訪れた番組は、「生活の不安」と「原発の必要性」を訴える住民の声を多く流した。
「テレビおもしろおかしく言うけど、保障できるんですか」
VTRののっけから、地元の小売店の店員、あるいはオーナーという服装と雰囲気の女性がまくしたてる。「(原発を)動かすとか、動かさないとかって第三者は簡単に言いますよね。ここに住んでない人は『危ないから動かさなくていいじゃない』って簡単に言うけど、じゃあ生活してる人のことを、あなたたちは考えてますか」
取材者に食ってかかるような口調が印象的で、聞いてるほうがめまいを起こしそうな勢いである。「ここで何万人が生活してるわけでしょ。その人たちの生活って、どうなるんですか」「テレビとかでおもしろおかしく、『止めたらいい』とか言うけど、生活してる人はどうするんですか。あなたたち保障できるんですか?」
建設会社、宿泊施設、小売り外食、タクシー業界も定検バブル
番組によると、この町も、以前よりメディアで伝えられる他の「原発の町」と同じく、原発産業に頼っている。町の歳入の6割が原発関連。交付金でつくられた立派なナイター野球場やテニスコート。直接的な雇用はもちろんのこと、地域の建設会社、宿泊施設、小売り外食、タクシー業界なども、原発関連のお客さんが消えれば即ピンチ。
とくに大きいのが、高浜原発1~4号機で、年に4回ほど行われる原発の定期検査だという。その時期には、人口約1万人の町に同数以上の原発関係者が訪れ、地元では「年4回のボーナス」「定検バブル」など呼ぶ人もいるそうだ。
文
ボンド柳生