オウム真理教の元幹部、平田信容疑者(46)と平田をかくまった斎藤明美容疑者(49)の2人は、出頭・自首する前にかなり周到な準備していた事実があらたに浮かびあがった。
2人は教団の占いにしたがってはじめは東北に逃げた。2年ほど宮城、青森、仙台と転々としたが、その後に大阪に移ったのは、平田が「人の多い大都市に行こう」と言い出したからだ。
日本年金機構「改めて身分証の提示は求めない」
大阪では斎藤が「吉川祥子」の偽名で勤めはじめた接骨院が借りていた1Kのマンションに住み、保証人の必要もなかった。また、整骨院の院長が手続きをして吉川祥子名義の健康保険証もできた。偽名健康保険証について、整骨院の院長は「法人として普通の申請手続きをし、問題はなかった」という。日本年金機構でも「事業主が本人確認を行ったうえで申請しているので、改めて身分証の提示は求めない」という。
この保険証でレンタルビデオ店の会員登録をしたり、ネット料金などの引き落としのための銀行口座をつくり、出頭時には数万円の残高があったという。「真面目でしたね。不審な行動もあまりなかった。整骨院が昼食代を支給していたので、領収書をもらってきてと言ってあったが、そんなに高い額でなかったので1人分と思いあまり気にしていなかった」(院長)
用意周到すぎる出頭・自首
斎藤は平田が出頭する昨年(2011年)の大みそか直前に、平田の太い眉毛を細く剃り落とした。警視庁に出頭する前に他の警察に捕まらないようにするためだったらしい。
斎藤は平田を見送った後、身の回りの片づけを始める。段ボール箱やスーツケースに入れた2人の衣類など615点、マンションに保管していたすべて新札の現金800万円を警視庁に任意提出している。整骨院には「親元に帰る」ことを告げ、9日夕に担当の弁護士に会い、10日午前3時ごろ弁護士の車に同乗して自首した。車の中で、弁護士の携帯電話を借りて両親に電話をかけた。留守電だったため、「長い間申し訳ありません。これから自首します」と吹き込んだという。
司会の加藤浩次はあまりの用意周到さに「でき過ぎていない!?」
キャスターのテリ―伊藤「固まっていますね」
元裁判官の八代英輝(国際弁護士)は、偽名でも取得可能な健康保険証について次のような疑問を呈した。
「結局、会社ぐるみで偽の健康保険証という、本人確認書類ができてしまうということですよね。運転免許証と同じ効力を健康保険証に認めるのはどうかということですね」