紅葉が終わると、東北はスキーシーズンを迎える。しかし、ここにも福島原発事故が暗い影を落としている。雪の安全性はどうなのか。福島県のスキー場の取り組みと対策を探った。
あだたら高原スキー場「毎日測定して安全PR」
福島県のあだたら高原スキー場は例年8万人のスキーヤーが訪れるが、今年はすでに2万人のキャンセルがあった。「営業に行くと、言葉はやさしく同情もされるが、それがお客さんになって返ってくるかというと、ちょっとね…」と担当課長は風評被害を語る。紅葉シーズンの観光客も例年の6割にとどまった。
集客作戦としてできることは、スキー場の放射線量を毎日測定して、その数値をホームページに載せて安全性をアピールすることだという。猪苗代町でも8か所すべてのスキー場で放射能の測定をし、結果を町のホームページで公表している。
司会の羽鳥慎一「なんとかしょうという気持ちが伝わりますね」
スピードスケート金メダリストの清水宏保は「これまで雪の放射能汚染についての情報がありませんでしたが、どうなんでしょうか」と心配顔だ。ゲストの首都大学東京の大谷浩樹准教授が答える。
「今から降る雪については、上空に放射性物質があまり漂っていませんので安全です」
司会の赤江珠緒「積もった雪の影響はいかがでしょうか」
大谷「雪がない状態では地中から放射性物質が空気中に出ていますが、雪が降り積もると、雪が放射性物質をおさえてくれるので飛んでいかなくなります。雪はもともと水、水は放射性物質を遮蔽する効果があります」
降雪、積雪、雪だるま、食べても心配なし
子供は雪だるまを作って遊んだり、食べたりもする。それでも大丈夫なのか。
大谷「問題ありません。食べても問題ありません」
城西国際大学非常勤講師の宮田佳代子「雪が解けた後はどうなりますか」
大谷「雨と同じで、雪どけ水が放射性物質を運んでくる可能性もあります」
羽鳥「これから初めての冬を迎えるわけですが、どんな心構えが必要でしょうか」
大谷「雪が降る前に土壌改良して疎水性の土に変えておけば、液状化しないし、飛散もしません」
宮田「お金もかかるし、人手もかかるし。季節が一巡するまでは一つ一つ検証していかないと不安ですね」
月刊誌『ゲーテ』編集長の舘野晴彦「世界的にこんな除染は初めて。やっぱり継続的に測定していくしかない」
この先もお金と人手と心の負担のかかる作業が続く。