改革派官僚といわれた経産省大臣官房付の古賀茂明は役所を辞めるのかやめないのか。古賀は省内の制度改革に取り組んできたが、民主党政権に裏切られ大臣官房付に飛ばされている。7月(2011年)には海江田元経産相から「退職勧奨」を受け、9月には鉢呂前経産相に「仕事をくれないなら辞める」とメールを送信したが、古賀が辞表を出す前に大臣が辞表を出すことになってしまった。枝野経産相にも同様のメールを送ったところ、枝野から記者会見で次のような返事が返ってきた。
「古賀氏については、海江田、鉢呂両大臣によって積み重ねられた判断と手続きが進められてきている。私としてはこれまでの判断を了とし、あとの手続きは事務方に任せることにしました」
回りくどい言い回しだが、つまり前々任者、前任者が決めたことであとは事務方の問題だと言うわけだ。これに怒った古賀は「大臣自らの意見でないなら、辞めつもりを止めます」と言い出す。しかし、古賀は引き延ばすのもここまでと腹を決めたのだろう。番組の取材(21日)に次のように語った。
枝野大臣「事務方に任せてある」
「(枝野大臣は)私に直接会うつもりはないと。私の人事は事務方に任せているということだった。多分、それは自分が責任を取りたくないという感じがあるのだと思う。仕事がずっと与えられないならいてもしょうがない。あす(22日)もう一度、(経産省の)官房長と話をし、最終決断をしようと思う。
辞めても改革を進めようという人はたくさんいる。そういう人たちの政策立案のサポートをするコンサルティングのようなことを続けようと思う」
英経済誌「エコノミスト(電子版)」は「the good bureaucrat」(有益な官僚)と題したコラムで古賀を事務次官にすべきであると提案した。
「この国を著しく改善させることのできる数少ない人物を失うなら、それは日本人にとって誠に残念なことである」
一官僚の進退問題がこれほど取り上げられた例は過去に聞いたことがない。
司会の羽鳥慎一「これは一個人の問題でなく改革をしようとする人物が、今の官僚組織のなかではこうなるという大きな問題」
タレントの松尾貴史も「改革の象徴的な存在になっている人を重用できないということは、枝野大臣は改革をする気などないと意思表示していることと同じになる」と断を下す。
トドメは作家デビューしたばかりの立花胡桃「エコノミストが外から見てそうなんだから、そうなんでしょう。みんなバカなんじゃない」