東京電力の傲慢な体質がまたも浮き彫りになった。福島原発事故の原因究明のため、国会が求めていた資料の拒否したうえ、代わりに役に立たない資料をそれも真っ黒に塗りつぶして堂々と出してきたのだ。
こんな国民をバカにしたことがまかり通っているのも、菅政権と国会が東電存続を前提にしたスキームを描いたためとスタジオでは怒りが噴出した。
やっと出した違う資料もほとんど黒塗り
衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会が東電に求めていた資料は、事故で全電源が喪失した場合の対策を記した「非常時の事故対策マニュアル」。
実は福島第1原発1号機には、すべての電源が失われても原子炉を冷却できる「常用復水器」と呼ばれる装置があった。原発事故発生当時、この装置は正常に稼働していたが、数十分後に現場の作業員が何を思ったのか停止させてしまったことからメルトダウンに繋がったという指摘がされている。
今回、委員会がこの真相を確かめるためには欠かせないとして求めたのが先の「非常時の事故対策マニュアル」だ。ところが、東電は出を拒否、先週になって出してきたのは求めとは異なる「通常の事故対策マニュアル」だった。しかも、12ページのほとんどを真っ黒く塗りつぶしてあった。
拒否した理由について、東電は「核物質防護の配慮や私的財産への配慮があるので」と説明しているが、川内博史委員長は「知的財産とか核物質防護という言葉を使えば、われわれのような素人を黙らせることができると考えているのでは」と怒り心頭だ。
吉井英勝委員(共産党)も「たくさんの人が放射能汚染の被害を受けている。加害者の社会的責任を自覚し事故の究明に全面的に協力すべきだ」と非難する。
つけあがらせた民主党と国会
司会の羽鳥慎一と赤江珠緒が口々に「真っ黒なのはひどい」「ひどい対応ですね」と呆れる。石原良純(タレント)も「提示しなくてもいいんですかね」
元共同通信社記者の青木理が背景に触れた。
「国権の最高機関が原因究明のために出せと言っているのだから出すべきですね。根本的な問題は、本当は破たん状態なのに、東電を残すというスキームを民主党や国会が作った。国有化すればこんなことできないはずで、残すと判断したためにこんなことを東電に許す余地を与えてしまった」
東電はあらめて12日午後(2011年9月)、「非常時の事故対策マニュアル」を提出することになっているが、羽鳥は「また真っ黒な資料が提出されることはないでしょうね」といぶかった。