菅首相が脱原発や発送電分離の検討を、個人的に(?)宣言した。「唐突だ」「なぜいま?」といった批判、報道がなされているが、テレ朝社員兼番組コメンテイターの玉川徹はこれに対して、違和感を表明。「唐突なのは、そうせざるをえない事情があるからではないか」と言う。
政官財こぞって猛反対
金曜夜に唐突に発表された浜岡原発の停止。玉川が聞いた話では、方針が決まったのは会見の直前。月曜に会見をする案もあったが、月曜までの2日間で話をひっくり返されるかもしれないとの危機感から、急遽会見に及んだという。
「異色の改革派官僚」で、現在退職勧奨を受けている経産省の古賀茂明も、スタジオ出演して、玉川の見方をサポートする。
古賀によれば、原発推進の国策は、政官業すべてに、陰に陽に大きな影響力を持っている。経産省の担当者にとっては将来的な天下りなどを含め、原発で食っていくことが生活設計にあり、猛反対。電力会社にとっても、原発推進をひっくり返されるのは「もっとも厳しいアンチテーゼ」なので、当然猛反発。
そして、競争がなく、コストに寛容で裕福な各電力会社は、地域で強い力を持っている。そうした電力会社は他の企業の上得意でもあり、電力会社に楯突く企業はない。経団連はこぞって、首相の方針に反対している。
政治家はどうか。「電力会社を敵に回すのは、経済界を敵に回すことだ」との認識があるうえ、「原発事故直後のショックが薄れて、やっぱり経済(効率)だ、という方向にどんどん戻っている」そうだ。
議員も「地元電力会社と経済界」敵に回せない
そんなこんなで、脱原発の根回しなどやっていたら、巻き返しにあい、しまいにはついてくる議員は誰もいなくなった、なんてこともなりかねない。そこで首相は、先手を打って、とにかく先にブチあげるという戦略にでている、らしいそうである。
古賀の話からすれば、「脱原発」は、電力規制・原発権益に対する首相の孤独な戦いのようである。