なぜ測らない放射能α線とβ線―国と自治体指示は「γ線だけ」

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   ポスト菅は「仙原幸彦」なんだそうだ。仙谷由人官房副長官、前原誠司前外相、枝野幸男官房長官、野田佳彦財務相の一字をとって並べたもので、このうち前原は外国人からの献金問題で蟄居中、枝野は菅直人と一蓮托生だから今回の目はないといわれている。

「仙原幸彦」次々消えて菅総理だけ驚異の二枚腰

   そうしたなかで野田財務相の名前がいち早く挙がったのは、「大島さん(理森自民党副総裁=筆者注)が『次の代表は野田でいい』と持ちかけたのに対し、仙谷さんは同意した」(さる官邸記者)からで、反小沢色も強くないから担ぐのに好都合なのだそうだ。だが、仙谷の本心は、野田を担ぐ構えを見せて党内外の反応を探ろうとしたのだと「週刊新潮」は読む。しかも、政界では、早々と名前が上がった候補がスンナリその座を掴むことはほとんどない。案の定、「週刊文春」が「野田佳彦財務相 摘発美容外科創業者から『政治資金』」とやってきた。

   彼の政治資金管理団体「未来クラブ」の政治資金報告書には2008年、09年にそれぞれ100万円ずつ、綿引一という人間からの個人献金があった。この人物、品川美容外科の創業者である。09年12月に、ここの池袋院で脂肪吸引手術を受けた女性が死亡し、警視庁が業務上過失致死容疑で捜査をしている。そのうえ、家宅捜索で捜査一課の極秘資料の写しが綿引氏のデスクから発見され、漏洩した捜査一課警部の強制捜査も間近だといわれている。こうしたいわくのある人間から個人献金があることを聞かれた野田氏は、返金も考えていると答えているが、彼の国盗り物語は第一歩から躓いたようである。

   そうなると、民主党最後の大物、仙谷をバッシングせよとなるのは週刊誌の必定。「キングメーカー・仙谷、何様のつもり?」(週刊現代)。「仙谷笛吹けど『大連立』踊らず」(週刊朝日)。「新『目白の闇将軍』になる『仙谷由人副官房長官』」(週刊新潮)。仙谷副官房長官の自宅マンションは豊島区目白で、田中角栄の旧目白御殿とは800メートルしか離れていない。だがここへきて、肝心の菅総理が驚異の二枚腰で、まだまだやる気を見せている。この永田町三国志、どういう結末を見るのか予断を許さない。

正確なデータ公表すると住民パニック起こる!?

   今週は、週刊朝日が「あなたの街の放射能汚染 数値データ一挙公開」、AERAが「一目でわかる東京プラス関東6県 詳細データ付き 放射能ホットスポット」で、政府の出している数値は信用ならないと、詳細な放射能汚染地図を特集している。AERAによると、ICRP(国際放射線防護委員会)が定めている一般人の年間被曝線量の許容限度「1ミリシーベルト」は、自然放射線量とは別に人工的に浴びる線量もあるため、自然放射線量を合わせると、許容限度は計2・5ミリシーベルトになり、これを1時間あたりに換算すると0・285マイクロシーベルトが目安という。つまり、朝日が計測した葛飾区・水元公園入り口の草地表面の毎時0・618マイクロシーベルトは相当高い。

   週刊現代は「異常な量の放射線物質を検出 人口29万福島市内が危ない」と、原発から60キロ離れている福島市内の私立保育園「こどものいえ そらまめ」の正門付近で、毎時19・6マイクロシーベルトを計測したと報告している。しかし、国や県が毎日発表している福島市内の放射線量はさほど高くはない。どうしてこのようなことが起きるのか。こんな記事が6月16日付の「朝日新聞」朝刊に載っていた。

   「飯舘村役場前には、測定結果を表示する機械が設置されているが、村側は『県の結果との違いが大きく、村民を混乱させる』としていったん電源を切った。機械を開発し、提供したアルファ通信(本社・東京)によると、5月30日の放射線量は毎時約8・9マイクロシーベルト。これに対し、県が発表した付近の測定結果は3分の1以下の同2・8マイクロシーベルトだった。

   同社は対象となる放射線の種類を絞り、カウンターの高さを50センチから、県などが測る際の1メートルに上げた。その結果、毎時3・8マイクロシーベルトに下がったという。同社は『機器の感度の違いやちょっとした場所、高さなど測定方法の違いで結果は異なる』としている」

   故意なのかどうかわからないが、重要なことに言及することをこの記者は忘れている。それは「放射線の種類を絞り」という箇所である。放射線にはγ(ガンマー)線、α(アルファ)線、β(ベーター)線があるのは知られている。また、放射線量計測器にはGM管方式とシンチレーション方式がある。こうしたことに詳しい知人によると、いまのモニタリングポストで使われているのはシンチレーション方式が多く、これはγ線は感知するが、他はあまり感知できないという。国もγ線以外のものを除いて測るよう指示しているようである。

   朝日新聞の記事にある社の計測器は、どうやらGM計数管方式で、α線もβ線も感知してしまうため数値が高く出てしまったようだ。そのため、α線とβ線を感知させないように覆いをして、高さも50センチから1メートルに上げることによって、放射線量が村の発表のものと近い数値になったと思われる。多くのモニタリングポストに「これはγ線だけを計測しています」という但し書きが貼られていることも、あまり知られてはいない。国や自治体側は、α線とβ線を計測しないのは、γ線とちがって洋服やマスクを通さないからだと説明しているようだが、外に出て運動したり遊ぶ子どもたちの多くはマスクをしないし、手袋もしていない。αもβも体のなかに入れば、重大な影響を及ぼすはずである。住民にパニックを起こさせないためといういい逃れで、正確なデータを公表しない、または計測しない国のやり方に、一刻も早く「ノー」を突き付けなくてはいけない。そのギリギリのところにきているはずである。

『今週の注目記事』被災地の納棺師(週刊ポスト)

   他の注目記事をあげておく。納棺師といえば映画「おくりびと」で一躍その存在を知られたが、津波で甚大な被害を受けた岩手県釜石市に住む納棺師・千葉淳(70)氏が、遺体に囁きかけ、一体一体を手厚く葬る姿を描いた「週刊ポスト」のノンフィクション「被災地の納棺師」が読ませる。

   「篤姫」「江 姫たちの戦国」で知られる売れっ子脚本家・田渕久美子氏の秘書をしていた2人の女性が、彼女を告発している週刊文春の「田渕久美子と泰葉 男遊び、暴力‥‥『狂気の瞬間』」。彼女の作品は実は兄が書いたもので、彼からファックスで送くられてきたものを彼女たちが整理し、それに1ページに付き2、3行付け加えるだけだったと話している。もちろん田渕氏はそうしたことを全面否定しているが、彼女のいうように「私の不徳の致すところ」であることは間違いないようだ。

   いまや「知の巨人」とまでいわれる立花隆氏が、「文藝春秋」7月号に書いた巻頭エッセイに新潮が噛みついている「『文藝春秋』巻頭に『立花隆』が書いた虚構の光景」。彼は樋口一葉ゆかりの菊坂(東京都文京区)の近辺に住んでいるが、久しぶりに散策してみると、あたりが変貌し、一葉が使ったという井戸まで消えてしまっていた。そうした文化遺産的史跡がなぜなくなってしまったのかと区役所に問い合わせると、住民の希望によりそうなったと聞かされ、住民エゴがここまできたのかと慨嘆している。

   ところが、露地も一葉の井戸もなくなってはいなかったというのだ。住民もこのエッセイに驚いていて、編集部が区役所に聞いてみたが、そうした問い合わせもなかったと答えている。はて、どうしたのかと立花氏に取材を申し込んだが、締め切りまでに返事はなかった。面妖な話である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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