現場で分別せず「捨てるだけ」
廃棄物・建設コンサルタントの日高正人氏は、「今回の瓦礫処理は最初のボタンを掛け違っている」と指摘する。
「何でもかんでも、仮置き場に運んでしまったことが問題です。たとえば、柱などの大型木材は現場で分別をするべきでした。コンクリートなどの建材も、今後の防波堤や防潮堤の建設でリサイクルして使えたのに、他の瓦礫と一緒に運んでしまった。それが間違いのもとです」
では、今後の対処としてはどうすればいいのだろう。
「専門家や瓦礫処理に当たった経験のある人材の投入です。これまでの日本の瓦礫処理は、出てきた瓦礫をどう処分するかに重点が置かれていましたが、今回の大震災以降、社会のニーズにあった瓦礫の焼却、リサイクルにどう取り組むかというソフトウェアーが重要になるでしょう」
大震災で発生した瓦礫は、被災地全体のゴミの23年分に当たるという。地区ごとにただただ集めては捨てに行くというのでは片付かないことは明らか。復興計画に大規模な瓦礫処理プロジェクトを組み込んで、総合的、戦略的、全体的な対処が急がれる。
*NHKクローズアップ現代(2011年6月9日放送「ガレキがなくならない」)
ナオジン