政府と東京電力は本気で福島原発事故を収束させようと考えているのか――。東日本大地震の翌日の3月12日(2011年)、1号機の炉心を冷やすために海水を注入したが、首相官邸の意向で55分間にわたって注水を中断していたと東電はこれまで発表していた。ところが昨日、福島第一原発の吉田昌郎所長が独自の判断で注入を継続していたことが明らかになった。
「気骨ある人。外すなんてとんでもない」(みのもんた)
コメンテーターの吉川美代子(TBS解説委員)「現場を知り尽くしている人だと聞いています。命がけで事故防止にあたっている現場の人には心強い味方ではないでしょうか」
与良正男(毎日新聞解説委員)「当初、菅総理は海水注水は自分の判断で指示したと手柄話のように語っていた。その後、班目春樹・内閣府原子力安全委員会委員長の再臨界うんぬんという進言で、中断を求めたとしていた。しかし、班目発言問題が起こり、これだけでもお粗末な事態なのに、今回また新たな問題が判明した。政府と東電は正面から事故と向き合っているとは思えない」
みのも「今回のことで東電本社の中には、吉田所長を処分しろという声があるようだが、これだけの気骨を持って懸命に事故対策に当たっている人はいない。その人を現場から外すというのは考えられないことだ」と力説した。
たしかに、今回の吉田所長の判断は適切だったが、所長は東電内で「原子力村」と揶揄される原発担当部署のエリート技術者で、原子力村が本社の意向さえ無視できる一大社内勢力であることをはしなくも明らかにした。その原子力村こそが、これまで「安全神話」を喧伝し、原発をアンタッチャブルにしてきた元凶でもある。単純に、気骨のある人と評価するわけにはいかないのではないか。