暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出されたため出荷規制されていたホウレンソウを、千葉・香取市の一部農家がそれと知りながら市場に出し7900束が流通していた。わかったのは別の農家からの通報だった。
出荷停止となったのは今月4日(2011年4月)で、その後の測定値が下がって22日に解除されたが、これら農家は1日から22日まで出荷していた。 農家は県の調査に「規制は知っていた」「金に困って」などと話しているという。
「規制知ってた」「金に困って」
規制ホウレンソウを出荷していたのは個人農家の10軒で、一部農家がJAを通さずに匝瑳市の市場へ持ち込んだところ受けつけてくれ、これが伝わり数が増えたらしい。一方、規制を守っていた農家は20日間で100万円の損害があったともいう。市場は基本的に農家が持ち込めば受け付けると話していて、要は農家の心がけということらしい。しかし、これは単に抜け駆けではすまない。規制を無視しているとなれば、新たな風評につながる。当然、現地ではわだかまりが残る。
福島原発事故のあと、野菜などの放射性物質の測定をしているのは1都10県。市町村単位で1か所を採取して、国が指定した検査施設が測定する。その結果によって規制がかかる仕組みだ。農家にしてみれば、1か所の測定結果で地域全体に規制がかかることに不満がある。消費者には1か所が安全でも他は大丈夫かという不信感がある。
ゼンショー、モスフードは独自検査
さらに、検査は水道水で20秒ほど洗浄してペーパータオルで拭き取ってから行われるのだが、これについて専門家は「一般家庭での洗い方と違う洗い方で安全だといっても、消費者にはプラスにならない」と指摘する。このため、外食のゼンショー、モスフードは独自に検査をはじめるなど、精度そのものへの不信感はぬぐえない。
元カリスマキャバクラ嬢の立花胡桃(作家)「水洗いしてから検査していたとは知らなかった。人によってはろくに洗わないでザクザク切っちゃってる。本当の数値はどうなんだろう」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「外からのスクリーニングだけでも地域全部でやったほうがいい。疑わしいものは流通させないように。農家も被害者だけど、消費者を新たな被害者にしてはいけない」
赤江珠緒キャスター「流通しているものは絶対安全でないといけませんよね」
ちゃんと補償されるという安心感がないのが根本だろう。さもないと、抜け駆けはなくならない。