東日本大震災のときに少しは考えろ!と世間から批判を浴びて4月12日(2011年)に延期されたプロ野球開幕戦。注目された「巨人・ヤクルト」戦は、開幕試合としては過去2番目に低い平均視聴率11・8%だったが、面白いのは10代に限っては昨年の2倍近くになったことだ。これにはちょっとした裏事情があった。
開幕戦で瞬間最高視聴率になったのは、8回表のヤクルト・青木の打席の午後8時54分の15・9%。すでに試合は9対2で巨人が大きくリードして勝負は決まっていたのに、なぜこのタイミングで最高視聴率を叩き出したのか。実は、もともとこの日はプロ野球中継は予定されておらず、8時54分からは新バラエティー「スター☆ドラフト会議」がスタートすることになっていたのだ。
くりぃむししちゅーやマツコ・デラックスらが、駆け出し芸人やお笑いグループのパフォーマンスを評定するという内容で、もちろん若者をターゲットにした番組である。多くの10代がこの番組を見ようとにチャンネルを合わせたり録画予約したことで、瞬間視聴率が上がり、10代の世代別視聴率が去年の2倍になったというのが真相だろう。「あれ、やってないじゃん」と戸惑った若者が多かったことは想像できる。
日本テレビは若者にもプロ野球人気が広がっていることがうかがえるとコメントしているが、むしろ野球中継をやっていることさえ気づかない若者が多かったということではないのだろうか。(テレビウォッチ編集部)