楽しい雛祭りの夜、熊本市内のスーパーで起きた女児死体遺棄事件。逮捕されたのは現場近くに住む20歳の私立大学2年生で、周辺取材で浮かび上がってきたのは、状況によって別人のような行動を取る二重人格的な性格だった。
空のリュック背負って物色
死体遺棄で逮捕されたのは山口芳寛容疑者。手掛かりになったのは防犯カメラに映っていた不審な行動だ。女児がトイレに入った1分後、黒の上下に中は空のように見える大きなリュックを背負った男が女児に付いていくようにトイレに入った。およそ15分後、男は大きく膨らんだリュックを背負って出てきた。
山口を目撃したというスーパーの関係者によると、「午後6時時10分か15分ごろ、(トイレ前の)ベンチに座ってじっとしていた。私がちょっとニコッとしたら、ニコッと返したんですよね。その後(犯行直前の)午後7時20分ごろもベンチにいた」という。
警察がこの映像を分析した結果、捜査線上に浮上したのが山口だった。山口はどんな男なのか。自宅は事件現場から約1kmしか離れていない。両親と弟の4人暮らし。近所の人の話では、「道で会うと必ずあいさつし、町内会の空き缶回収も一緒にやっていた」という。また母親の勤務先の話では「(母親の仕事が)夜遅くなると自転車でよく迎えに来ていた」と、母親思いのイメージが浮かぶ。
保育園の実習には参加
普通の若者の印象なのだが、山口が卒業した地元中学校の同級生の話では違った面もあった。
「キレたら怖かった。何を取り出してくるかわからなかった」
2009年4月に熊本学園大学福祉環境学科に入学するが、同級生は「会話が全くない。ずっと下を向いている感じだった。ひと言でいえばネクラ」「新人歓迎会で好きなタイプの女性の話になった時、『小学生ぐらいの女の子』とかが返ってきた」と話す。そのためかどうか、月に1度の保育園の実習には参加していたというが、その年の秋には学校に来なくなった。
キャスターの小倉智昭が「好きなタイプの女の子と聞かれて小学生の女の子って、普通は言わんでしょう」と、タレントのピーコに振った。ちょっと言い淀みながら、ピーコはこうしゃべり出した。
「言わないと思いますよ。この人は大人の女の人とのコミュニケーションが取れないタイプなのかもしれませんね」
IT会社社長の夏野剛は「ボクはちょうど3歳の娘がいる。オムツが取れて、自分でしたがる時期。親としてもうれしい時期にこういうことが起きるとは、本当に許せない」と怒った。
空とおぼしきリュックを背負っていたのは何を意味するのか。はじめからわいせつ目的で連れ去る計画だったのだろうか。