意外に早い展開だった。京都大などの入試問題がインターネットの掲示板に流出した「カンニング」事件。仙台市の予備校に在籍する浪人生(19)が関与した可能性が強まった。投稿に使われた携帯電話の契約者が山形県の女性で、その息子が京大などを受験していたのだ。
偽計業務妨害とは知らなかった
警察は投稿に使われた携帯電話のIPアドレスや個体識別番号の提出を受け、これを携帯電話会社に照会、契約者の住所や名前がわかった。
大学入試の業務を不正な手段を使って妨害したとして偽計業務妨害の疑いで捜査される方向だが、コメンテーターの本村健太郎(弁護士)は「本人はカンニングのつもりでやったのであって、まさか偽計業務妨害といった犯罪になるとは思っていなかっただろう。ある意味で前途有望な受験生であり、逮捕されるかどうか微妙なところだ」と見ている。
これに対し、タレントの大沢あかねは「罪の意識がないといっても、他の受験生だって人生がかかっている。ほんとうに迷惑な話だ」と厳しい意見。
「流出大学」協力すれば特定容易だったはず
ここで、キャスターのテリー伊藤が問題提起。大学は安易に警察に頼ったのではないかというのだ。伊藤によれば、入試問題が流出した京大、同志社大、早稲田大、立教大をすべて受験した学生はそう多くはないはずで、大学が協力して調べれば、本人を特定できたのではないかという。
「学校のカンニングで警察に逮捕されるなんてことはなかった。今回、すごい前例をつくることになる。僕らの時代には、学園に警察権力が入ることには違和感があった」
学園紛争の時代を知る世代の中には、同様の思いをもった人も少なくないかもしれない。それより若い世代の本村は、「警察に頼まなかったら、時間がかかって合格発表の日まで間に合わない可能性があった」
ともかく、こうした「ネット・カンニング」に対抗できる強い防御手段が必要だ。番組では今回の事件で注目が集まっている携帯電話を圏外にする抑止装置も紹介したが、具体的な導入にはまだ課題があるようだ。