堀北真希哀しい…TVドラマより面白いか?東野圭吾ベストセラー

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(C)2011 映画「白夜行」製作委員会
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白夜行>2005年に舞台化、2006年にドラマ化もされた東野圭吾のベストセラー小説を堀北真希主演で映画化。監督は『半分の月がのぼる空』の深川栄洋が務めた。ベルリン国際映画祭のパノラマ部門の正式出品作として選出されるなど注目されている。

   昭和55年、密室の廃屋で質屋の店主が殺された。容疑者として浮上したのは客の西本文代(山下容莉枝)だったが、捜査の途中で事故か自殺か分からない状態で死亡。結局、被疑者死亡のまま事件は解決とされたのだが、担当刑事の笹垣(船越英一郎)だけは納得できずにいた。殺された店主の息子・桐原亮司(今井悠貴)の目の奥に潜む闇、西本の娘・雪穂(福本史織)の子どもらしくない妙な妖艶さが笹垣にはどうしても引っかかったのだ。

   時代は平成に入っても笹垣は事件を追い続け、成長した雪穂(堀北真希)の周りで不可解な出来事が続いている事実に気付く。決して姿を見せることはないが、雪穂の周りに亮司(高良健吾)が見え隠れしている。

   亮司と雪穂の接点が明らかになるにつれ、19年前の事件の真相が見えてくる。そこに隠されていたのは、2人の悲しいほどに固い絆だった。

高良健吾の存在感で成功

   映画は雪穂と亮司という男女の絆を描いていくのだが、大人になった2人が実際に接触することはない。亮司は雪穂を遠くから見守っているだけだ。それにも関わらず、捉え方によってはラブストーリーが成立しているからおもしろい。原作も映画も2人を取り巻く人々の目を通して、雪穂と亮司が描かれる。たとえば、笹垣の捜査によって2人の行動が明らかにされ、それぞれの心の内を浮き彫りにしていく。亮司がなぜ雪穂に接近しないのかというのは映画の肝になる部分なので明かさないが、映画終盤に2人の関係の真相が分かったときに観ている者が感じる哀切は、2人に直接語らせない手法だからこそ得られるものだろう。

   雪穂と亮司が店のウィンドウ越しに見つめ合うシーンがある。大人になった2人がもっとも近づく場面だ。もちろん会話はない。微笑み合うだけだ。しかし、それまでに2人の接触を描かないことで、その微笑みはどんなキスシーンよりも説得力を持つ。

   テレビドラマ版のように亮司と雪穂の2人をそのまま描くのではなく、原作の手法を取り入れるのは高いリスクがあったと思う。明らかにドラマ版の構成の方が感情移入はしやすい。ただ、大人になった亮司役の高良健吾が少ないシーンながらも、存在感を存分に発揮して映画の成功に繋がった。

野崎芳史

オススメ度:☆☆☆☆

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