「赤城の山も今宵限り…」
歌にうたわれ、映画や舞台で演じられてきた国定忠治(1810年~1850年)の評価をめぐって、生誕の地の群馬県・伊勢崎市でちょっとした騒動になっている。
国定忠治は単なるヤクザ者か、それとも強きをくじき、弱きを助ける侠客か、というわけなのだが、小木逸平アナが「スパモニ情報局」で取り上げた。
「税金でもり立てるな」とクレーム
国定忠治(本名・長岡忠次郎)は、関所破りや殺人などの悪事を働き、最後は磔の刑に処せられた江戸末期の博打うち。その一方で、天保の大飢饉(1836年)の際に、私財を投じて民衆を助けた侠客とも伝えられている。
騒動の起こりは、忠治を愛する「せさき忠治だんべ会」と市観光協会の共催で、今年5月に予定されていた忠治生誕200年を祝うイベントが、突如中止されたことから。
中止理由について、市観光協会は「市民から批判的な意見が寄せられ、市がやるのは難しくなった」と説明する。税金でヤクザ者を盛りたてるのはいかがかというわけだ。
忠治の子孫で86歳になる長岡富男さんは、イベント中止に「(中止を)言われれば『そうか』というけど、自分からどうしようとは思わない」という。というのも、先祖代々「罪人である忠治を口にするな」と言い伝えられてきたかららしい。
それにしても、庶民に親しまれてきた忠治だったのに、価値観が変わり、忠治も「賞味期限」切れというわけか。「名月赤城山」も歌われなくなった。
これは我慢できないとばかり、タレントの松尾貴史が吠えた。
「存在を語り継ぐということは無形文化財的なところにきているということ。ヤクザ者だったことと一緒くたにして考えるなら、戦国武将を祭り上げイベントにしているところはいっぱいある。それを『戦争賛美』と言われたらどうするのか」
クレーム付けた市民って、どんな市民なんだろう。
文
モンブラン