<流れ星(フジテレビ系月曜夜9時)>なんだかんだ言っても、フジテレビの看板ドラマ枠の「月9」ですからね、腐っても鯛ですよ。まずまずのドラマに仕上がっています。竹野内豊の水族館飼育員と上戸彩の風俗嬢の「契約結婚」という設定はやや現実離れしてますが、2人のラブストーリーを女性感覚でていねいに描いています。脚本も演出も女性が中心です。おとなしいドラマなので、なかなか視聴率は取りにくいでしょうが、私はこういうの好きですよ。主題歌はコブクロの「流星」で、これがまたしっとりとしていて非常にいい。音楽がいいというのも「月9」の伝統ですね。
「竹野内豊」伸びのある声すばらしい
このドラマの真面目なところは、普通の人が普通に出てきて普通に悩むというところでしょうね。最近のドラマはスーパーな能力を持った医者や刑事が登場してきて、エイヤッてたちまち難問を解決してしまう。ストーリーとしては単純で、痛快かもしれませんが、見ている側にとって共有感といいますか、思い入れみたいなことがまったくできない。自分の苦い過去や悩んでいる人間関係と重ね合わせながら、登場人物たちの中に自分を見つけるというドラマ本来の魅力が薄らいでいるように思えてなりませんね。
その点、「流れ星」は普通の人を普通にていねいに描いているから、好感が持たれているんじゃないかな。だって、竹野内の水族館飼育員も上戸の風俗嬢も稲垣吾郎のチンピラ兄貴も、なんだか近くにいそうだもの。だから、彼らの行く末が余計に気にかかるわけです。とくに、若い人にとっては、ある部分、自分だから。
竹野内は9年ぶりの「月9」主演だそうですが、素晴らしく声がいいね。伸びがあって、こっちの体に響いてくる。もちろん、芝居の方もしっかり役をつかんで演じているという感じで、彼が完全に引っ張ってるね。それに比べると、上戸はちょっとドラマずれしちゃってる印象です。新鮮で好きだったんですけど、お芝居そのものがまとまっていない。いろんなことを覚えちゃって、彼女らしさが見えてこないのね。ただ演じている。もっと気合入れてやれよといささか苦言を呈しておきます。
看板を 下ろして気楽な リスタート