尖閣ビデオを流出させたのは神戸海上保安部所属の巡視船「うらなみ」主任航海士(43)だった。きのう(2010年11月10日)名乗り出て、事情聴取に「映像は神戸で見た」「だれでも見られる状態だった」と話しているという。
急展開は東京地検が「YouTube 」を管理している「Google」のデータを押収したことから。画像をアップした場所が神戸のネットカフェとわかり、これがニュースで流れた。これを船内で聞いた航海士が船長に「わたしがやった」と話したという。これが伝わると、さっそく国会では野党が情報の管理責任を追及。「ビデオを公開しないメリットはなにか」(小泉進次郎議員)などと菅首相らを責め立てた。
第5管区本部や神戸海保には、「彼を訴追しないで」といった電話・メールが殺到して、航海士を英雄視する声が高まっているが、組織の指示に背いた責任は責任という声もある。「とくダネ!」がきのう都内で50人に聞いた結果は、15対35でビデオ流出支持が多かった。
仙谷官房長官は「明らかな犯罪だ」といい、「責任を問うべきでない」という人を 「不健全な国民」と言っているが、このビデオの公開をめぐっては、「守秘義務に触れるほどの機密情報か」「国民に見せるべき情報ではないか」という意見も多い。専門家も国民の知る権利と守秘義務の兼ね合いが微妙だという。
国家機密でなくコピー
判例では、国家公務員の守秘義務を(1)一般に知られていない(2)秘密として保護に価するの2つがポイントとしている。 これに照らすと、立件は難しいという見方もある。
弁護士の安冨潔・慶大教授はこう言う。
「むずかしいです。見解が分かれるところです。本当に守らなければいけない秘密なのかどうか」
司会の小倉智昭「裁判の証拠だから、国家機密を封印されたもの」
安冨「証拠は封印されているが、これはコピーしたものですから」
福田和也(文芸評論家)「政権運営にも関わる。強行すると、仙谷さんの地位にもかかわるかもかもしれない」
真鍋かをりが「中国への影響は?」と聞くと、安冨は「そこが保護すべき情報かどうかの微妙な分かれ目になる」と答えた。
小倉「慎重になったのも、途中からだった」
このビデオは大臣の「取り扱い注意」の指示が出るまでの1か月余の間、保安庁関係なら誰でもアクセスできる状態にあった。取り締まりの現場情報を共有する必要があるからだ。今回流れたのも研修用ビデオだった。裁判になったら、ここも争点になりそうだ。