米倉涼子とんがった魅力なく「平凡で普通のマルサの女」

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   <ナサケの女~国税局査察官~(テレビ朝日系木曜夜9時)>役者をそろえて、スタッフがみんなで知恵出し合って、一生懸命に作れば作るほど、見てる方からすると平凡で幼稚なドラマになってしまうというのの典型ですね。米倉涼子も脱税摘発チームの一員に過ぎず、「交渉人」のときのようなとんがった魅力がありません。

武田鉄矢オカマバーのママいい味

   とにかく米倉涼子の立ち位置がハッキリしないんです。強引で大胆な行動で脱税を摘発していくというのですが、マルサの調査は内偵とチームワークが基本ですから、突拍子がないだけで、米倉が誰かと対峙して異常なほどの対決にならないんです。当然、歯切れのいい台詞回しも空回りしてしまっています。

   ひょっとしたら、水谷豊の「相棒」のオンナ版、国税版を意識しているのかもしれませんが、残念ながら、相棒の「杉下右京」ほどには突出していません。強くて魅力的なオンナを米倉が演じようとすればするほど、ストーリー展開や周囲の「普通」「平凡」がそれをかすませてしまうんです。

   あれも入れよう、米倉のこんな顔も見せよう、こんな展開はどうか…などなど、ひとつひとつはいい提案であっても、それを生真面目に全部実現しようとすると、なんの変哲もないただまん丸のドラマになって、まったく印象がなくなってしまうものです。柳葉敏郎、泉谷しげるなどキャスティング的には豪華なのに、こじんまりとしたドラマになってしまった。米倉ものとしてはおおいに不満足ですね。

   そんななかで、おもしろいと思ったのは武田鉄矢演じるオカマバーのママ。武田も面白がって肩の力抜いてやってるから、軽妙、洒脱が生きてくる。米倉とのやり取りは、このドラマの中で唯一目立っています。それと、勝村政信のとぼけた芝居も拾いものです。この2人がもう少し話の本筋にからむ展開になれば、全体の印象も変わってくると思いますよ。もっと遊び心があったらいいんでしょうね。

      目立つのは  鉄矢のオカマ  ママだけよ

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