「何かが起こる金曜日」と司会の小倉智昭。問題の尖閣諸島沖での中国漁船と巡視船の衝突場面のビデオが昨夜(2010年11月4日)遅く、ネット動画サイト「YouTube」に流れた。それも合計44分という、いわば全貌公開だ。政府の対応に対する造反は間違いない。
誰が流したのか。投稿者のハンドルネームは「sengoku38」と挑戦的だ。映像は6つに分かれていて、それぞれタイトルがあって、さらに「海上保安庁」のあとにナンバーがふってあった。
①本当の尖閣 7分30秒
②尖閣の真実 8分09秒
③尖閣侵略の真実 11分21秒
④本当の尖閣 11分24秒
⑤日本の尖閣 3分33秒
⑥どうなる尖閣 2分29秒
このうち、①~④は巡視船 「よなくに」からの映像、⑤は「みずき」、⑥が 「はてるま」のもので、国会議員が視聴したのは④と⑤のうちの計6分50秒だけだった。
流出元は海上保安庁か那覇地検か
映像を見ると、停船して操業中の中国漁船に「領海からの退去」をうながす場面から始まり、漁船が網をあげる様子、急に走り出して「よなくに」向かってきて、左舷後部にぶつけて右舷側に回り込み逃走するさま。次に「みずき」の右舷にカジを切って衝突、「みずき」が加速して避ける様子がはっきりと映っていた。最後の映像は巡視船「はてるま」がやや遠方から撮った「みずき」との衝突の光景だった。映像を解析した山田吉彦・東海大教授によると、漁船の航跡から見て意図的にぶつけてきたことは明白だという。
海上保安庁が撮ったビデオは合計2時間分があったが、那覇地検が編集した6分50秒の映像が一部国会議員に公開された。つまり、YouTubeに流れた映像は海保か那覇地検か、海保から東京に送られたものからしか得られないことになる。映像には現場の音声、会話のほか、撮影時間、説明などのテロップが入っており、きちんと編集したものであることがわかる。
スタジオで田村憲久衆院議員(自民)が、ビデオの一部が国会で見たものであることを認めた。
「政府が出すなといってるものが出ちゃうという怖さ。大変なことだが、政府に不満があったのかもしれない」
コラムニストの深澤真紀「あれしか、議員にしか公開しないのかという不満を感じる」
小倉「国会議員でもぶつかったかどうかわからないと言っていた人がいたが、われわれが見てもはっきりしてる。中国への配慮からそう言ったのかどうか」
大村正樹アナ「漁船の船員が落ち着いていた。報道官が言っていた『巡視船に囲まれ動揺して』というのとは違う」
そこへ元内閣安全保障室長の佐々淳行氏が電話でコメント。これがよかった。
「船長を釈放したのは間違いだったとわかる。国連などに向けて、日本が正しいという証拠を出さなかったのだから腹が立つ。正義の味方、 月光仮面がいるんですよ。公務員法違反にはなるだろうが、わたしは弁護したい。 よくぞ出してくれたと。 それよりなんで隠したんだと」
もしこれを政府が仕組んだのだとしたら、相当な高等戦術だが……。