テレビ局の電波利用料は世界的に見て破格の安値―「週刊ポスト」(11月12日号)が興味深いデータを公開している。テレビ局は国(総務省)から電波の割り当てを受け、電波利用料を払っているが、それによって得られる事業収入に比べて、極端に安いというのだ。
「週刊ポスト」が情報公開請求によって入手した資料によると、各局の電波利用料は次のようなものだ(2008年実績)。
☆NHK 14億8700万円(事業収入6644億円 比率0・22%)
☆TBS 3億8500万円( 同 2727億円 同0・14%)
☆日本テレビ 3億7600万円( 同 2777億円 同0・14%)
☆テレビ朝日 3億7000万円( 同 2209億円 同0・17%)
☆テレビ東京 3億6000万円( 同 1075億円 同0・33%)
☆フジテレビ 3億5400万円( 同 1717億円 同0・21%)
☆地方局など 9億1251万円( 同 1兆2525億円 同0・07%)
☆全国128局計 42億4641万円( 同 2兆9676億円 同0・14%)
全国計で見ると、テレビ局は42億4641万円で電波を仕入れ、それに番組やCMを乗せて受信料収入や広告収入で2兆9676億円を売り上げているということ。事業収入に対する『仕入れ料』比率はわずか0・14%である。
電波利用料は放送エリアの広さや受信世帯数に関係なく、電波中継器の数によって決まるのだという。全国でもっとも電波利用料が低いのはU局の「テレビ埼玉」で年間119万円。「週刊ポスト」は「月々約10万円というワンルームマンションの家賃程度で、売り上げ約40億円」と書いている。
欧米では政府が何年かごとに「電波オークション」を行って電波の割当先を決め、落札した放送局は高額の利用料を払う。日本では放送免許を認可されると、放送内容や視聴者の評価にかかわらず、半永久的に経営を続けることができる。テレビ番組の質低下はこんなところにも原因がありそうだ。(テレビウォッチ編集部)