ベルギー・ブリュッセルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)で4日(2010年10月)夜、菅首相が中国の温家宝首相と「偶然」出会って言葉を交わした。廊下にあったイスに座って約25分間。そこで「戦略的互恵関係」の重要性を確認したと伝えられた。
様子を伝える菅首相は「やあやあという感じで自然に」とニコニコ顔だった。出かける前は硬い表情で、「(温家宝会談の)予定はありません」と言っていたのだから、まずまずの結果だろう。
一方の中国は、テレビがこれを伝えたが、「会談」と言わず、「言葉を交わした」とやや微妙な表現だった。領土の主張もしたが、日中関係は重要という伝え方だった。
領土問題で菅首相は「領土問題は存在しない」、温首相は「中国固有の領土」と、双方とも「原則的立場」を言いぱなし。それよりも関係改善に重点が置かれたのはありありだ。
仙谷官房長官が極秘に根回し
尖閣諸島の漁船問題以降の両国の関係を考えれば、偶然に話し合ったなんてことは常識的にはありえない。国連だろうと国際会議だろうと、同じ会場にいても、口をきいてはならない国の首脳は絶対に接触はしないものだ。
きょう(6日)の朝日新聞は、「仙谷官房長官が極秘に根回しした結果」と報じた。先の細野豪志議員の訪中ともつながっているらしい。「とくダネ!」も「偶然なんてあるのか」と指摘したが、話は別の方へいった。
司会の小倉智昭「もしそうであれば、中国語の通訳がいないとおかしい」
笠井信輔アナが出したボードでは、日本側は「英語の通訳」、中国側は「日本語、英語の通訳」となっていた。笠井は「英語を介したので実質の時間は短くなった」と伝え、小倉が「中国側に日本語通訳がいれば、英語は関係ない。日本語わからなかったんだよ」「そうだよね」などとたちまち修正。
デーブ・スペクター「とっさのことだからいいんじゃないですか」
小倉「いいけどさ、菅さんが温首相に会えるかもと思っていたなら、中国語通訳は連れていくべきじゃない?」
おそらく、外務省が仙谷工作を信用してなかった結果だろう。偶然だと言い張っているのは、「民意に弁解をしながら、日中間の危機を弱めるため」と専門家は分析しているという。まあ、わからないでもない。
小倉「民主党は民意を重視し過ぎじゃないですかね (船長の解放も)検察がやったんで、政府は介入してないなんて、これも民意を気にしてでしょう。堂々とやってくれればいいと思うんだけど」